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給与は手取り11万円。このままでやっていけるのでしょうか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えするのが「マネープランクリニック」です。今回は自称「貧困女子」の31歳女性からの悩み相談。人気ファイナンシャル・プランナー、八ツ井慶子さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)
■相談者
田中のぞみさん(仮名)
女性/パート社員/31歳
実家(持ち家マンション)
■家族構成
母親(60代/契約社員)、姉(36歳/家事手伝い)
■相談内容
大学を出てフリーターのまま時が過ぎました。いわゆる「貧困女子」です。正社員になることはほぼあきらめています。今のパート先は、給与は低いですが、職場環境は気に入っています。幸い実家のため家賃や光熱費はかかりません。月1万入れているだけです。結婚の可能性も低く、このまま独身でやっていけるでしょうか……。
■家計収支データ
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(1)家計収支データを参照
(2)雑費について
たまに洋服などを買うが、その半分は家族へのプレゼント。たとえば昨年の場合、母と姉の誕生日に各2万円、母の日に5000~1万円、クリスマスに母と姉と叔父に3000円ずつ、お年玉は母と姉に各8000円、叔父に1万3000円ぐらいのおせちを送った。
(3)家族について
母親は体力的にきつくもうそろそろ仕事を辞めたがっているが、家計が苦しく続けている。姉は独身で、障害者のため年金で暮らしている。父親は5年前に他界。
■FP八ツ井慶子からの3つのアドバイス
アドバイス1 今後の家計を考えるなら、貯蓄を増やすことが最優先
アドバイス2 もう一度、「支出」の必要性を見直してみよう
アドバイス3 「長く働く」ことを目指すのも有効な収入アップ法
アドバイス1 今後の家計を考えるなら、貯蓄を増やすことが最優先
家計でもっとも気になるのは、貯蓄が少ないという点です。貯蓄額が「10万円」というのは、何かあったときにとても心許ない金額です。
さらに、毎月の貯蓄が「2万円」とのことですから、本来なら年間で24万円貯まることになります。そうなると、結果的にその年のうちに貯蓄をくずし、何かに支出していることになるわけです。問題はそれが何なのか、ということ。その中身の把握と、自分にとってそれが本当に必要な支出だったのかを考えてみる。まずはそこから始めてはどうでしょうか。
なかなか貯まらない人の傾向のひとつに「流され消費」があります。
消費した理由は「安かったから」あるいは「流行っているから」。そこには「自分」という主語がありません。つまり本当に自分が必要だったから購入したわけではないのです。収入は限られています。とくに家計に余裕がない場合、こういった支出は大いに貯蓄の足を引っ張ります。田中さんもぜひ、チェックしてみて下さい。
アドバイス2 もう一度、「支出」の必要性を見直してみよう
具体的な家計の見直しとして、まずは固定支出である保険について考えてみましょう。田中さんは現在加入されている3本の保険のうち、終身保険は貯蓄性もありますので継続していいと思います。対して、医療保険は保険料がやや割高と感じます。保障内容について、たとえば120日型を60日型に、あるいは女性疾病の特約を外すといったことで保険料を下げてはどうでしょうか。
また、ガン保険についても、保険料3964円は仮に70歳まで払い続ければ200万円近くになります。すでに医療保険に加入していること、また現在の年齢、収入や貯蓄額を考えれば、その分、貯蓄に回すのも一案です。
もうひとつ、気になるのはご家族などへのプレゼント。誕生日や母の日、クリスマスなど、いただいたデータを合計すると年間8万円ほどになります。ご家族思いであることは本当にすばらしいと思いますが、現状を考えれば、もう少し抑えてその貯蓄を増やしたいところ。経費を抑えるために、一部手づくりの品などに切り替えても、田中さんの気持ちは十分伝わるはずです。
アドバイス3 「長く働く」ことを目指すのも有効な収入アップ法
田中さんのご相談が「このまま独身でやっていけるかどうか」ということですが、いずれリタイアすることを考えれば、やはり貯蓄がポイントになります。
貯蓄を増やすには「支出の削減」と「収入アップ」の2つの方法があります。「収入アップ」でつい考えがちなのが、正社員になって年収を上げる、あるいは転職して給与額を上げるといったこと。
しかし、もうひとつ、長く働くということも結果的に収入アップにつながります。65歳まで、あるいは70歳まで働けば、その分、収入アップと同じ効果が期待できるわけです。
田中さんの場合、今の職場で正社員になる可能性は低いとのことですが、働きやすさには満足しているとのこと。非正規雇用の方の場合、職場への不満が大きいケースが多いので、そこは安心できる部分です。したがって、現在の職場でできる限り頑張ってみてはいかがでしょうか。
とは言え、正社員等のキャリアアップをまったくあきらめてしまうのは、自分で選択肢を狭めていることになります。もちろん、現実はきびしい部分もありますが、それでもそういった希望も捨てずに持ち続けてほしいと思います。
教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める
取材・文/清水京武