【新日鉄住金エンジの中学・高校生対象「設計コンテスト」】エンジニアリングを体感 試作やプレゼンに創意工夫

新日鉄住金エンジニアリング(社長・藤原真一氏)が主催する中学・高校生を対象としたエンジニアリング体感プログラム「情熱・先端Mission-E」の最終コンテストがこのほど、東京・品川の東京海洋大学で行われた。関東5校の中学・高校生が浮体式洋上風力発電所の「浮体」設計に約半年をかけて挑戦。各校の創意工夫とプレゼンテーション力が光るコンテストとなった。

5校がプレゼンと性能でしのぎ

 本プログラムは昨年に続く2度目の開催。今回は栄北高等学校、埼玉県立秩父高等学校、桐蔭学園中学校女子部、東京都立戸山高等学校、日本体育大学柏高等学校の5校が参加した。波・風のある状態での安定性と発電量、環境共生を含む設計思想のプレゼンテーションが審査対象。「プレゼンテーション賞」「技術賞」「審査員特別賞」「総合優勝」の4賞が設けられ、各校がしのぎを削った。

各校が様々なアイディア披露

 当日はプレゼンテーションと同大の水理模型実験棟の造波装置を用いた性能試験を実施。プレゼンテーションでは秩父高校が「ポイントアップのために接地面積を狭くする必要があり、アイディアを出すのに苦労した」と経緯を語った。また、栄北高校は浅い海域に風力発電設備を設置するため、石をアンカーにするといったアイディアを披露している。また、桐蔭学園は3つの試作の実機を披露し、2つめのアイディアであるヤジロベーを応用した奇抜な浮体を採用した経緯をわかりやすく語った。

秩父高校のプレゼンテーション
桐蔭学園のプレゼンテーション

 戸山高校は設置場所について「校長先生がいつも想定外を想定しろと言っている。東京湾では万が一風車が倒れた時のダメージが大きい」とユニークなプレゼンを行った。日体大柏は体育系の高校らしく東京五輪などを絡めた独自のプレゼンを披露。建物の免震から着想し浮体を二重構造とした経緯を語り、プレゼンでは「卓上で考え、実際に検証することの大切さを学んだ。研究の面白さを非常に実感できた」と述べた。

実用性の高さが評価された日体大柏の浮体

技術賞・総合優勝に秩父高校

 性能試験では波や風に耐えられず転覆するチームも見受けられたが、安定した性能を発揮したチームもあり見守った審査員らを唸らせた。当日は国土交通省総合政策局の吉元博文技術政策課長もコンテストを見守るなどコンテストへの関心の高さが感じられた。各賞には技術賞に発電量などで最高得点を獲得した秩父高等学校、プレゼンテーション賞に桐蔭学園、審査員特別賞に日体大柏を選出。総合優勝には全ての項目でトップを獲得した秩父高校が輝いた。

性能試験を見守る生徒たち

「新日鉄住金エンジに入れるよう勉強」

 秩父高校のメンバーは「このプログラムを通じて学んだことを今後の生活に活かしたい」と優勝の感想を述べた。また、各校の生徒たちは「このプログラムで得られたことは大変多く貴重だった」「自校のみでなく様々な考えを持つ他校と一緒に実験できたことがとてもよかった」などと感想を述べた。さらに、女生徒が「私は建築志望なので今後も改良を続けたい」と熱く語ったほか「新日鉄住金エンジに入れるよう勉強していく」と頼もしい感想を述べた生徒もおり、コンテストの充実ぶりが感じられた。コンテスト終了後には懇親会も初開催され、真剣勝負後の満ち足りた和気あいあいとしたムードが流れた。

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