サドル窃盗報道での名誉毀損認めず 横浜地裁、原告の請求棄却

 自転車のサドルの窃盗容疑で逮捕され、後に起訴猶予処分となった横浜市の男性(39)が、供述内容をゆがめて県警に発表され報道されたことで名誉を傷付けられたとして、県と報道機関5社に計1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(石橋俊一裁判長)は30日、請求をいずれも棄却した。

 訴訟で男性は、女性のサドルの匂いをかぐために盗みを繰り返した異常性癖者のような発表を県警にされたと主張。テレビ局やスポーツ紙は発表を検証せず、面白おかしく報道したと訴えていた。

 石橋裁判長は判決理由で、県警の発表や取材対応について、男性の供述などから「真実の証明があり、違法性はない」と指摘。5社の報道についても、「目的は公益を図ることにあった」とした上で、「重要な部分は真実であり、不法行為は成立しない」とした。

 判決によると、男性は2013年8月、サドルを盗んだとして逮捕され、自宅からサドル200個が押収された。横浜地検は最終的に起訴猶予処分とした。男性は当初、報道機関6社を訴えたが、うち1社とは和解が成立した。

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