〈時代の正体〉安倍政権の問題訴え国会前で集会

【時代の正体取材班=田崎 基】政府・与党が近く国会審議入りさせる方針のいわゆる「共謀罪法案」や、森友学園問題など、安倍政権下で起きている複数の問題について抗議しようと31日夜、国会正門前で集会が行われた。冷たい雨の降る中、約400人(主催者発表)が集まり、共謀罪法案の廃案や、森友学園問題を巡る責任追及、安倍晋三首相の妻、昭恵氏を国会に証人喚問することなどを訴えた。  今月発足した「未来のための公共」(未来公共)が主催する3回目となる国会前集会で、高校生や大学生、子育て中の母親、会社員男性らがマイクを握り「安倍政権がやっていることはおかしいことだらけだ」と声を上げた。

 「今日まで高校生です」と切り出した男子高校生(18)は「安倍首相は『一億活躍社会』を目指すというが、国民は安倍首相のために活躍するわけじゃないんです。個人として自分たちの未来のために活躍するんです。戦後70年守ってきた憲法がこんな形でむちゃくちゃにされようとしているのに、黙っていていいのか。自民党がやろうとしている憲法改正を放っておいたら全体主義になってしまう。共謀罪はその手始めに過ぎない」と力を込めた。

 自民党は、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、4月6日に衆院本会議で審議入りしたい意向。ただ、同法案を巡っては刑事法学者160人余りが反対声明を発表しているほか、政治学者や憲法学者で構成する「立憲デモクラシーの会」も反対する姿勢を明確にしている。

 集会ではこのほかにも、保育園の待機児童問題や、「働き方改革」と銘打って政府が主導する残業時間規制の不十分さについても抗議の声が上がった。

 非正規雇用で働きながらも子どもを保育園に預けられずにいるという女性は「正規雇用の就職の面接で『子どもを保育園に預けられますか』と聞かれた。そんなの分かりません。保育園に落ちたのは私の努力が足りないからでしょうか。社会がおかしいのではないか」と訴えた。

 「私は夫婦で子育てをしたい。パパも子育てに参加できる社会にしたい。でも正規雇用で働く夫の帰宅はとても遅い。どうしたらいいのか。そうしたうまくいかないことに生きづらさを感じている。でも、私はつらいことを我慢しないことにしました。多くの人がつらいことを水に流し生きている。でもその必要はない。つらい思いを声に出すことで希望が生まれるから。それが未来につながっていくはずです」 女性のスピーチを受けマイクを握った会社員男性も「なぜ雨の日に国会前に来たのか。それはここに希望があると思うからです。抗議の声を上げ、行動する。そこに社会の希望がある。そして社会は確実に変わっていく。自民党の人もこうした抗議の声を耳にして『このままで大丈夫だろうか』と不安を感じているかもしれない。そうした状況が生まれつつある」と、駆け付けた思いを口にした。

 そして、強調した。「安倍首相からは、この国の希望や理想は見えない。そんな政治家は今すぐ辞めるべきだ」 未来公共は4月7日夜も国会正門前で集会を開く。

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