サンパウロ病院が活動制限=経済危機で薬や消耗品も不足

 サンパウロ市南部のサンパウロ病院が3月30日、3月31日からは緊急以外の入院患者受け入れを停止する事を決めたと3月31日付エスタード紙が報じた。
 同病院はサンパウロ連邦大学傘下の病院で、込み入った症状を訴える急患患者の受け入れでは国内有数の総合病院だ。
 同病院では、10年から16年にかけての経費が60%増え、銀行融資なども受けたが、資材供給会社への負債が滞っている。深刻な経営難と患者増加は、血液検査に使う反応液や絆創膏、トイレットペーパーなどの基本的な資材や消耗品の不足も招き、通常の医療活動はもちろん、入院患者や家族への対応にも支障をきたしている。
 患者増加は、ブラジルが直面している景気後退や失業率上昇、所得減少などで保健プランをやめ、統一医療保健システム(SUS)に乗り換えた人も来院し始めた結果だ。病院施設はそのままだが、救急外来の患者は、14年の1日700人が1500人に増えている。
 患者増加と経営危機が重なり、様々な資材や消耗品の在庫も底を突き、予約してあった検査までキャンセルされた、手当てを受けたり入院したりするのは廊下に置かれた担架や車椅子の上、長時間待たされて立腹した患者や家族が医師や職員に罵詈雑言を浴びせ、暴行を加えるといったトラブルも後を絶たない。
 SUSの利用者が増えた事で、SUSに参加する病院の患者数が増え、待ち時間が延びたり、資材が不足したりという事態は同病院だけの問題ではない。地域医療審議会が1、2月に行った調査では、5千人以上の医療関係者の内、60%が何らかの暴力行為の被害に遭ったという。
 保健省は、サンパウロ州保健局には16年に、中、高難易度の病気を扱うための資金としての86億レと2億4600万レの追加資金を払っており、サンパウロ病院には16年、5390万レが支払われたと述べている。
 一方、サンパウロ州保健局は、同病院は国の管轄で国の資金はきちんと送付しているとした上、支援の意味で15年以降、2億レ超を送付したと答えている。

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