地場材料で七味開発 「県内農業盛り上げたい」 若手農家グループ

 県内の若手農業者有志でつくるグループ「神七(かなせぶん)」が地元農業を広くPRしようと、生タイプの調味料「神七味(かなしちみ) 初(うぶ)」を開発した。メンバーが生産した農産物を材料に旬の味をぎゅっと詰めた一品で、地産地消を進める県内飲食店では相次いで採用が決まっている。今後、直売所での販売やイベントなどで広くPRしていく。

 「神七」は2015年3月に結成。現在は横浜、横須賀、伊勢原市の20〜40代の農業従事者8人がメンバーだ。「地元野菜のイメージが乏しい神奈川で農業を盛り上げよう」とメンバーが日々、フェイスブックで農作業の様子を発信する傍ら、取引先の飲食店などの協力を得て商品開発に臨んできた。

 2月までに完成した商品第1弾の神七味は、トウガラシにミニトマト、金時ニンジン、ニンジンの葉、干しシイタケパウダーとレモンの皮、玄米をブレンド。味付けは塩のみで仕上げた。いった玄米が辛みを抑え、香ばしさと食感をプラスしている。生野菜や魚、肉料理に合うという。

 「数十種類の農作物から材料を選び抜いた」。シイタケとキクラゲの専門農家で、プロジェクトリーダーを務める永島太一郎さん(35)=横浜市金沢区=は振り返る。「開発は手探りで、材料の組み合わせを何度も変えた」という。生の商品で生産量が限られるが、今後は材料や作り方を季節ごとにアレンジし、1年後をめどに長持ちする乾燥タイプの開発も目指す。

 大消費地が目の前に広がる神奈川。特に横浜市は農地面積や農家戸数が県内1位にもかかわらず「地元野菜のイメージがない」と永島さん。痛感するのは、生産者同士の交流を深める必要性だという。メンバーには銀行員からの転身や元自動車ディーラーなどもおり多彩だ。今後、そうした視点を生かしたいという。

 農家の高齢化や後継者難、耕作放棄地問題、もうかる農業への模索−。事業環境を取り巻く課題は少なくない。永島さんは「自分たちの実績をつくり、地域に必要とされる農家を目指したい」。

 同商品は、新しい観光みやげ品の開発を進める県の事業にも選ばれた。同事業の一般向けお披露目としての試食会が2日午後1時から2時まで、そごう横浜店8階「神奈川・横浜グルメフェスティバル」会場内で開かれる。約200食分を用意する予定だ。商品の問い合わせは永島農園のメールアドレス(info@nagashima-nouen.jp)へ。

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