過去3年の投打5傑で検証 スタートダッシュのカギを握る「春男」はこの選手

プロ野球は開幕カードが終わって2カード目に突入した。そろそろ各球団の優劣も現れ始めるころだ。ペナントレースを制するには、スタートダッシュが肝心。そのためにも3、4月に強い「春男」は、チームには不可欠だ。

ロッテ・涌井秀章【写真:編集部】

セパ「春男」過去3年の投打5傑を振り返る

 プロ野球は開幕カードが終わって2カード目に突入した。そろそろ各球団の優劣も現れ始めるころだ。ペナントレースを制するには、スタートダッシュが肝心。そのためにも3、4月に強い「春男」は、チームには不可欠だ。

 過去3年の3、4月の通算成績をもとに、両リーグ、投打の「春男」を見ていこう。

 投手、パ・リーグから。

【パ・リーグ勝利数5傑】

1.涌井秀章(ロッテ) 10勝6敗 防御率3.08
2.石川歩(ロッテ) 8勝2敗 防御率1.50
3.則本昂大(楽天) 8勝6敗 防御率3.39
3.牧田和久(西武) 7勝2敗 防御率1.92
3.大谷翔平(日本ハム) 7勝3敗 防御率1.87
3.西勇輝(オリックス)7勝5敗 防御率3.65
3.野上亮磨(西武)7勝6敗 防御率3.11
3.ディクソン(オリックス) 7勝7敗 防御率2.68
3.スタンリッジ(ソフトバンク、ロッテ)7勝7敗 防御率3.09

 ロッテの涌井は過去3年間、3、4月に17試合に登板して10勝6敗。負け数も多いが、17試合で16度責任投手。エース、先発投手としての責任を果たしていると言えよう。同じロッテの石川歩は、2016年こそ故障で出遅れたが、涌井とともにほぼローテを維持、防御率は3年とも1点台。2人の優秀な先発投手が、ソフトバンク、日本ハムという大戦力に伍して、ロッテがポストシーズンに進出する原動力になっている。

 牧田は昨年は救援投手ながら3勝。ロングリリーフと言う特異なポジションで勝利に貢献している。一方、大谷翔平も好成績で、今年彼が投げないことの損失は大きい。また、岸孝之(楽天 昨年まで西武)は4勝4敗、金子千尋(オリックス)は3勝3敗、武田翔太(ソフトバンク)は4勝2敗と、エース級でもスロースターターはいる。

過去も圧倒的投球を見せてきたG菅野、パ打率5傑は…

【セ・リーグ勝利数5傑】
1.菅野智之(巨人) 11勝3敗 防御率1.38
2.小川泰弘(ヤクルト) 8勝2敗 防御率2.37
2.井納昇一(DeNA) 8勝5敗 防御率3.08
4.黒田博樹(広島) 7勝2敗 防御率2.63
4.野村祐輔(広島) 7勝5敗 防御率4.30
4.メッセンジャー(阪神) 7勝7敗 防御率3.95

 菅野はまさに巨人、そしてNPBのエースと呼ぶにふさわしい成績だ。春先からきちっと仕上げている。投球内容も圧倒的。また、昨年、防御率が大きく下落した小川だが、3、4月ではすでに3勝していた。彼も「春男」だと言えるだろう。

 黒田博樹は2年間で7勝2敗、安定感のある投球だった。彼の穴を野村以下の投手で埋めることができるだろうか。藤浪晋太郎、能見篤史の阪神勢はともに6勝(藤浪5敗、能見3敗)、石川雅規(ヤクルト)は5勝8敗。中日では大野雄大が3年で4勝(5敗)しているのが目立つ程度だ。

 次は打者を見ていこう。過去3年合計で200打席以上立った打者の打率5傑。

【パ・リーグ打率5傑】
1.内川聖一(ソフトバンク) .340、11本塁打58打点
2.藤田一也(楽天) .332、2本塁打24打点
3.角中勝也(ロッテ) .318、2本塁打30打点
4.松田宣浩(ソフトバンク) .305、14本塁打52打点
5.中村晃(ソフトバンク) .303、1本塁打28打点

 内川、角中という首位打者経験者に迫る形で通算打率.271の藤田が2位。藤田は打数は少ないながらもDeNA時代の2010年にも.360、2011年は.333と3、4月には高打率を挙げている。典型的な「春男」だ。

 また、ソフトバンク勢が3人。このチームには目ぼしい投手の「春男」はいないが、打者は春先から好調な選手が多い。大谷翔平は打席不足ながら打率.315、6本塁打26打点。今季の大活躍によってこの数字はさらに跳ね上がるだろう。

 過去3年、3、4月の最多本塁打、最多打点は16本塁打59打点の中田翔(日本ハム)。打率は.251と低いが、彼も「春男」だ。

セ打率5傑は…

【セ・リーグ打率5傑】

1.エルドレッド(広島) .365、17本塁打41打点
2.平田良介(中日) .320、7本塁打32打点
3.梶谷隆幸(DeNA) .3163、4本塁打24打点
4.川端慎吾(ヤクルト) .3157、4本塁打25打点
5.西岡剛(阪神) .312、1本塁打21打点

 エルドレッドは2015年はこの時期、故障で出場していない。2年だけだが春先に大当たりしている。平田は、3年連続で3割。彼も「春男」だ。

 西岡は、春先には好調なのだが、ここ3年故障で戦線離脱している。今季はまだ出場していない。最多本塁打は19本のロペス(DeNA)、同じDeNAの筒香嘉智は17本塁打54打点、打率.293。彼もスタートダッシュの良い選手だ。

 山田哲人は3年間では打率.299、14本塁打44打点だが、昨年は.340、8本塁打17打点と好調だった。今季から阪神に移籍した糸井嘉男は、オリックス時代の3年間、打率.304、13本塁打50打点を挙げている。彼が阪神の起爆剤になるだろうか。

 春先の活躍は、ファンの記憶に残りやすい。今季も新しい「春男」が出てくるだろうか。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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