米人気男性誌がイチローを異例の特集「脇役に回りながら輝きを失わない」

メジャー17年目のシーズンを迎えたマーリンズのイチロー外野手。開幕2戦目だった5日(日本時間6日)敵地ナショナルズ戦で代打出場し、球団の最年長出場選手記録を更新した。今季もさまざまな記録の更新が期待される“レジェンド”について、アメリカの男性雑誌が異例の特集を行なっている。

マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

米人気男性誌「エスクワイア」が日本の“レジェンド”を絶賛

 メジャー17年目のシーズンを迎えたマーリンズのイチロー外野手。開幕2戦目だった5日(日本時間6日)敵地ナショナルズ戦で代打出場し、球団の最年長出場選手記録を更新した。今季もさまざまな記録の更新が期待される“レジェンド”について、アメリカの男性雑誌が異例の特集を行なっている。

「イチロー・スズキ:調査ファイル」というタイトルで特集したのは、米人気男性誌「エスクワイア」電子版。1933年にシカゴで創刊された世界初の男性誌が開幕に合わせて特集したは、日本の誇るレジェンドだった。

 特集の冒頭では、第4の外野手としてチームに尽くすイチローを「スター選手がそのスポーツの中心に留まろう醜態を晒す年齢で、日本のMVPは驚くべき行動を取った。脇役に回りながら、輝きを失わずにいる」と紹介。日本の誇る安打製造機は、米国のスポーツ史上でも稀有な転身に成功したようだ。

 記事では、最近引退したスポーツ界のヒーローに注目している。NBAスターのコービー・ブライアントは「去り際を見極められず」、ヤンキースの元主将デレク・ジーターは「先発選手以外にはなれなかったために去った」とし、将来は殿堂入り確実と言われるスーパースターながらも「パートタイム役を受け入れる気まずさをも避けなかった」イチローと比較。メジャー17年目、43歳を迎えてもなお現役であり続ける姿を称えた。

同誌の元有名コラムニストを魅了「イチローは瀟洒かつ優美だ」

 さらに「ルーティンと反復」から成り立つ野球を探究し続ける背番号51の姿を「修行僧」と形容。「7歳から毎日500回もバットを振り続け、オリックス入団後に型にはまらない打撃スタイルを完成させた」ことを紹介しながら、現在でも数々のルーティンや、日本から運び込んだマシンを利用した初動負荷トレーニングを続けるイチローは「決して道を逸脱することはない」と評している。

 そして、スペインが生んだ伝説の詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカに多大なる影響を受けたエスクワイア誌の元有名コラムニスト、ジョージ・フレイザー氏がすら「カリスマ性、才能、男振りの相乗効果的な組み合わせが生む、不思議な魅力に取り憑かれた」そうだ。記事では「イチローは瀟洒かつ優美だ。修行僧のような顔は陰影で縁取られている。手作りのグラブを使い、バットは一定の湿度で保管。フィールドを淡々と滑走する姿には、効率性と目的が染み込んでいる」と、文学的な表現を使って日本が生んだ“レジェンド”を称えている。

 背番号51の佇まいに魅せられたのはフレイザー氏だけではない。マーリンズのドン・マッティングリー監督も「彼はただただクールなんだよ。彼がフライを捕球する姿や返球する姿を見てごらん。為すこと全てに独特なオーラが存在するんだ」と話し、絶賛したという。

 メジャーの第一線で、いぶし銀の輝きを放つイチローはアメリカ人も賞賛するほどの風格を漂わせているようだ。

© 株式会社Creative2