鉄産懇・佐伯会長、中国市況軟化「在庫調整が主因」 中国ミルの生産動向注視

鉄鋼産業懇談会の佐伯康光会長(新日鉄住金副社長)は6日、懇談会終了後に「海外経済はおおむね堅調。欧米地域もまずまずで、中国も想定通り。アセアンも相応の成長をしている」とした上で「世界の鉄鋼需要は16年、17年と緩やかな増加が続く」との見方を示した。

 最大の注目点は中国動向と指摘。鉄鋼需要は「政府の景気対策効果もあって好調。自動車向けもいいし、固定資産形成(インフラ投資)も良いレベルだ。ただ中国ミルの生産量が高いレベルとなっている中で、輸出は一時期よりも数量が減って国内向けに出荷され、中国国内の鋼材在庫水準がやや高い」と言及。「足元で中国の鋼材市況が軟化しているが、在庫調整によるもので一過性とみている。今後の中国の鋼材生産を注視したい」と語った。

 国内鉄鋼需要は「総じて堅調に推移している」とコメント。2月末の薄板3品在庫は前月比1万トン減の388万トンと在庫調整トレンドが続いているとの見方を示した。

 一方で「輸入鋼材は、数量と入着価格のモニタリングをしっかりやっていきたい」と述べた。2月末の入着価格がボトム比でトン1万円近く上がったことに触れて「ようやく上がってきたが、まだ安い水準だ。業界紙などの報道によれば、韓国ミルや台湾ミルは2~4月積みでトン1万~1万2千円の値上げをするという。この前提に立てば、今後入着価格がさらに上昇してボトム比で累計2万円高いレベルにくるのではないか」との見方を示した。

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