老舗画廊の志継ぎ 「AKIRA−ISAO」、横浜で開廊

 関内地区で42年にわたって老舗画廊として親しまれた「せんたあ画廊」。画廊主が亡くなり昨年3月に閉廊したが、志を継いだ画廊「AKIRA−ISAO」が5日、横浜市中区山下町にオープンした。

 代表の佐々木勲さん(68)は、せんたあ画廊で35年間を過ごし、画廊主の小澤章さんに育てられたという。小澤さんは2015年6月に心筋梗塞で突然倒れ、約半年の闘病を経て76歳で亡くなった。

 「やり残したことがたくさんあっただろうと思う。作家をサポートする企画展を行う、その考え方を継ぎたかった」と佐々木さん。2人の名前を合わせて新しい画廊名にした。

 オープン記念に並ぶのは諏訪敦さん(49)の絵画4点。以前から交流のあった諏訪さんが、お祝いとして作品を貸し出すなど協力した。横浜ゆかりの舞踏家、故大野一雄さんの晩年の姿を緻密に描いた油彩画が目を引く。

 諏訪さんは丹念な取材によって描写対象に肉薄し、作品化する。写実的な描写は、目に見える以上のことを雄弁に物語る。

 「介護ベッドにいる姿を描いていいのかとの思いがあったが、大野さんはベッド上でも表現者だった。気遣うこと自体が、大野さんを捉え損なっていたのだと気付いた」と、諏訪さんは当時を振り返った。

 諏訪さんの作品は14日まで展示。午前11時〜午後6時。入場無料。問い合わせは、同画廊電話045(264)4835。

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