「共謀罪に反対」声明続々 専門家3団体代表者らが結集

【時代の正体取材班=田崎 基】国会で審議中のいわゆる「共謀罪」法案に反対する研究者や法律家らの3団体が13日、参議院議員会館で会見し、法案の問題点を挙げた「声明」を発表した。登壇した憲法学者の清水雅彦日本体育大教授は「憲法が保障する重要な人権を侵害する恐れがあり、違憲立法の可能性がある。なんとしても阻止しなければいけない」と強調した。  声明を発表したのは、法学研究者約600人が名を連ねる「民主主義科学者協会法律部会」(民科法律部会)、会員約2千人という「歴史教育者協議会」(歴教協)、研究者らで構成する24団体が賛同している「平和と民主主義のための研究団体連絡会議」(平民研)。代表者らがマイクを握り、それぞれの立場で反対する理由を述べた。

 刑事法学者で国際法にも詳しい民科法律部会の新倉修理事(青山学院大名誉教授)は「この法案に賛成している方々は『自分は適用されない』と思っているのだろう。だが『自分は絶対適用されない』と言い切れない法律だということこそが、この共謀罪の最も危険なところだ」と指摘した。

 過去の歴史を踏まえた上で反対の姿勢を鮮明にする歴教協の白鳥晃司副委員長は「戦前・戦中に治安維持法によって多くの教員が弾圧された。格差や貧困が問題になるなど当時と状況が酷似する中で出てきた共謀罪に恐れを抱く。警鐘を鳴らしていかなければならない」と力を込めた。

 法案には適用対象にほぼ歯止めがなく、2人以上で犯罪について計画すればその時点で逮捕される恐れがある。対象となる犯罪も広範な277に上り、政府が説明するテロ対策とは無関係なものも少なくない。

 会見には、「改憲問題対策法律家6団体連絡会」や、2月に発足した法律家7団体による「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」のメンバーも参加し、一致協力を訴えた。

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