水素社会へ補助対象増 県、FCV普及目標遠く

 水素で走る燃料電池車(FCV)の普及に向け、県が導入している購入費補助金の本年度分の受け付けがスタートした。前年度に比べ1台当たりの補助額を減額する一方、対象枠を1・8倍に拡大。水素ステーションの整備促進を図る補助制度と併せ、環境負荷の少ない「水素社会」の実現を目指す。ただ黒岩祐治知事が「神奈川発、水素革命」と打ち出し、「2020年までにFCV5千台」とする目標の1割に満たない状況だ。

 FCV購入費補助金は、トヨタ自動車の「MIRAI」が80万円、ホンダの「クラリティ FUEL CELL」が82万円。国や市の補助を合算すると、負担額は車両価格の半額程度に軽減される。対象は県内の個人や企業などで、126台分の枠を確保。申請受け付けは来年2月末まで。

 また、FCVに燃料を補充する水素ステーションの整備費補助は最大4千万円。1カ所当たりの整備費は約3億9千万円で、このうち国補助金(2億5千万円)と事業者負担1億円を差し引いた額を助成する。5月12日まで受け付け、応募社数に応じて案分する。

 県の水素社会実現に向けた動きは13年、黒岩知事が「神奈川からエネルギー革命を起こす。次世代エネルギーの主役は水素だ」と打ち出して施策を展開。15年には自動車やエネルギーの産業界と行政などでつくる協議会が、県内の20年度までの普及目標として「FCV5千台、ステーション25カ所」を掲げた。

 県によると、FCVは横浜、相模原、藤沢、海老名の4市も補助制度を導入するなどしているが、現時点の普及台数は約120台。一方、ステーションは石油元売り大手のJXエネルギー(東京都千代田区)が県内12カ所に整備したものの、横浜市(6カ所)や相模原市(2カ所)などに偏在しているという。

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