マンガン鉱石の中国向けスポット価格、5カ月ぶり上昇 底入れ鮮明、港頭在庫はまだ高水準

マンガン鉱石の指標となる中国向けスポット価格が約5カ月ぶりに上昇した。同価格は昨年末に急騰して以降、その反動から右肩下がりに推移してきたが、ここにきて底入れが鮮明になっている。ただ、中国の港頭在庫は依然として潤沢で、先行きも上昇基調が続くかは微妙だ。

 中国向けスポット価格は足元で5・5ドル(マンガン純分価格、着価格)前後。直近の安値4・5ドル(3~4月)に比べ20%強上昇、昨年末の相場急騰前の水準まで戻した。

 4ドル前後の低い価格レベルが続いたことで、豪州や南アフリカなどの鉱山会社の採算が悪化。価格引き上げによって収益を改善しようという動きが広がったためだ。豪州、南アに生産拠点を持つ最大手のサウス32が率先して値上げに動いたもようだ。

 ただ、昨年末に付けた9ドル強の水準まで戻すのは難しそう。天津港、防城港など中国の主要港の港頭在庫は現在、300万トン程度。9ドル強に上昇した時は100万トン台まで減少。これが価格高騰の引き金となった。

 市場関係者の間では「現在の在庫水準ではトレーダーなどが積極的に買いに入る局面ではない」との見方が一般的で、底入れは鮮明になっているが、当面は安定した値動きが続く見通しだ。

 一方、マンガン鉱石を原料とするマンガン系合金鉄の値動きは静かだ。主に高炉メーカーの副原料となる高炭素フェロマンガンは欧州市場で1トン1300~1400ドルで推移。シリコマンガンも同1200ドル台で安定推移している。

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