広島黄金期支えたリードオフマンが古巣にエール 最も期待する選手は…

昨シーズン、25年ぶりのリーグ優勝を達成した広島。今季は2年連続のリーグ制覇、昨季届かなかった日本一に向けて新たな戦いに挑んでいる。そんな王者にエールを送るのが広島で5度のリーグ優勝、そのうち3度の日本一を経験している高橋慶彦氏だ。

広島で5度のリーグ優勝、3度の日本一を経験している高橋慶彦氏【写真:篠崎有理枝】

高橋慶彦氏が古巣・広島にエール「黒田は引退したが、遺産は大きい」

 昨シーズン、25年ぶりのリーグ優勝を達成した広島。今季は2年連続のリーグ制覇、昨季届かなかった日本一に向けて新たな戦いに挑んでいる。そんな王者にエールを送るのが広島で5度のリーグ優勝、そのうち3度の日本一を経験している高橋慶彦氏だ。

 1974年のドラフトで3位指名を受けて広島に入団した同氏はプロ入り後にスイッチヒッターに転向。打者としての才能を伸ばして入団4年目の78年からレギュラーに定着した。特に打撃と走塁で際立った活躍を見せ、盗塁王3度、ベストナイン5度、日本シリーズMVPなど数々のタイトルを獲得。そんな高橋氏はロッテ、阪神を経て引退し、ダイエー(現ソフトバンク)、ロッテ、オリックスで指導者を歴任。現在は福島・郡山に本社を置く住宅販売・設計施工会社「ウェルズホーム」で広報部長を務めている。

 今年還暦を迎えた高橋氏は躍進する古巣に熱視線を注いでおり、今年の連覇達成については昨年引退した黒田博樹の穴を埋められるかが鍵となると分析する。ここまでは、エース左腕のクリス・ジョンソンが離脱中ながら、若手が奮闘。4年目の九里亜蓮が3試合登板で2勝1敗、防御率2.18、2年目の岡田明丈も3試合登板で2勝0敗、防御率3.38と上々のスタートを切り、ルーキーの加藤拓也、床田寛樹はすでにプロ初勝利を挙げた。

「今年も広島は強いと思います。黒田が広島に来てから、インサイドへの投球が増えましたね。それまでは外中心が多かった。そういうピッチングを経験して、投手陣は成長しました。黒田は引退しましたが、その遺産は大きいですね」

高橋氏が特に期待する選手は…

 また昨年の経験が若手に大きな自信になっていると見ており、「田中広輔内野手、菊池涼介内野手、丸佳浩外野手は問題ないでしょう。あとは4番が決まるかですね。緒方孝市監督も自分のやり方が固まってきています。自分の戦い方を選手にどう伝えるか、昨シーズンの優勝で自分の中では確立できたのではないでしょうか」と期待する。

 その中でも注目しているのは堂林翔太内野手だという。昨年まで1軍に定着し切れないシーズンが続いた25歳はここまで代打や代走での起用ながら11試合に出場し、打率.500、4打点をマークしている。

 高橋氏も「堂林に出てきてほしいですね」と期待。昨年までの印象について「バッティングフォームがバラバラだった」と振り返りながら、自身が現役時代に広島で臨時コーチを務めていた故・山内一弘氏に「バットにボールが当たらなかったら意味がない」と指導されたことを例に出し、「全体的に直すのは難しいので、パーツパーツを直しながら、打ち方を教えてもらいました。『ボールってこんなに飛ぶものか』と自分でビックリしたのを覚えています。堂林は足も速いですから、まずはバットに当てることを意識して欲しいですね」とエールを送った。

 東京・城西高時代にエースで4番として3年時に夏の甲子園に出場した高橋氏。同じく愛知県の強豪校、中京大中京高のエースで4番としてチームを牽引し、夏の甲子園優勝に導いた堂林に自身の姿を重ねているのか、その期待は大きい。

 かつて広島の黄金期を支えたリードオフマンは堂林の復活、そして広島の連覇の行方を遠くから見守っている。

篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki

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