岸から「ゴメン」―楽天戸村、開始「15分前」に告げられた緊急登板で初勝利

楽天の戸村健次投手が、チームの緊急事態を救った。23日のソフトバンク戦(ヤフオクD)。先発予定だった岸孝之投手が腰の違和感で登板を回避。急遽、代役として先発のマウンドに上がり、6回途中無失点の好投で勝利投手に。「(ベンチ入りメンバーの中で)先発できるのは僕しかいない。こういうことはあると思って、1軍に来ている。良かったです」と安堵の表情を浮かべた。

楽天・戸村健次【写真提供:東北楽天ゴールデンイーグルス】

岸が登板回避で急遽登板も6回途中無失点、梨田監督「戸村が助けてくれた」

 楽天の戸村健次投手が、チームの緊急事態を救った。23日のソフトバンク戦(ヤフオクD)。先発予定だった岸孝之投手が腰の違和感で登板を回避。急遽、代役として先発のマウンドに上がり、6回途中無失点の好投で勝利投手に。「(ベンチ入りメンバーの中で)先発できるのは僕しかいない。こういうことはあると思って、1軍に来ている。良かったです」と安堵の表情を浮かべた。

 登板直前のブルペン。岸が異変を訴えた。キャッチボール、遠投も行い、投球練習中だった。戸村が代役として先発登板を言い渡されたのは「(試合開始の)15分前くらい」。トレーナールームでマッサージを受けている最中だったという。「最初、何を言われたか分からなかった。『すぐ準備して』と。岸さんに何かあったかなと思いました」。すぐさまブルペンへ。急ピッチで肩を作り、30球ほどの投球練習を行ってマウンドへ上がった。

「緊張というか、何も考えないで行こうと思った。岸さんから『ゴメン』と言ってもらいましたけど、正直それどころではなかった。何も考えないで投げたのが良かった」

アクシデント乗り越えて1勝、戸村は「運も良かった」

 初回2死一、二塁、2回1死一、三塁と立て続けに訪れたピンチをしのぐと、波に乗った。「正直1、2回は決していいとはいえない。ちょっとずつ、打者を見たり、配球の意図を感じられた」。3回から5回まではテンポ良くアウトを重ね、ゼロを並べた。

「2つの四球が余計だった」と6回に連続四球を与えたところで降板したものの、バトンを受けた福山が好リリーフ。チームは逃げ切り、白星をつかんだ。

 昨夏に右肘の手術を受けた戸村。今季は開幕1軍を逃し、4月18日の西武戦(メットライフ)で初昇格を果たした。だが、その後も登板はなく、この日が今季初登板。スクランブル先発という状況で「相手のスタメンも確認していない状態。運も良かった」。役目を果たすには十分過ぎる好投だった。

 アクシデントを乗り越えての1勝に、梨田昌孝監督は「戸村が助けてくれた。先発を早く告げるよりも、急な方がいいのかな」と右腕に感謝した。ソフトバンクに勝ち越し、貯金は9に伸びた。首位をがっちりキープした楽天。この白星は、大きな1勝となりそうだ。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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