進藤・鉄連会長、米政権の鉄鋼輸入調査令「当局の調査見守る」 保護主義政策に懸念

日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は24日の定例会見で、トランプ米大統領が通商拡大法232条(国防条項)の適用を視野に、同国の鉄鋼輸入を対象に調査を指示する大統領令に署名したことについて、「詳細は分からないが、当局の調査を見守りたい」と述べ、米調査当局のヒアリングなどがあれば日本の鉄鋼業界としても対応していく考えを示した。その上でトランプ政権の一連の保護主義政策について「懸念している」と強調した。

 232条は、輸入製品が米国の安全保障に影響を与えた場合、当該輸入品を規制できる内容。調査は商務省が実施する。進藤会長は「ラストベルト(さびついた工業地帯)への対応なのか、中国などの対米輸出の増加が関係しているのか、よく分からない」と戸惑いを見せた。

 日本の鉄鋼製品の対米輸出については、「年間200万トンと生産量の2%程度にすぎない」と述べ、仮に輸入規制があっても影響は限定的との見方を示した。

 オーストラリア・クイーンズランド州のサイクロンによって原料炭のスポット価格が乱高下していることについては、「一過性の事象。収束を見守っている」と述べる一方、鉄道が復旧しても原料炭輸送が完全回復するには時間がかかるとの見方を示した。

 原料炭以外の鉄鋼原料価格の足元の動向についても触れ、新日鉄住金社長として「(16年度下期に比べ)下がることはない」とし、顧客に対しマージンの引き上げなどを丁寧に説明していく方針を改めて強調した。

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