国別の粗鋼生産量、インドは日本抜き2位 3月、月間で初

3月の国別粗鋼生産量でインドが初めて日本を上回り、月間生産量で中国に次ぐ世界2位に浮上した。インドでは国内経済の回復傾向を背景に、インフラ関連を中心に鉄鋼需要が好調に推移。昨年来、鉄鋼生産の増加スピードが早まっていた。一方、輸入鋼材に対してはセーフガード(SG、緊急輸入制限措置)をはじめとする保護主義策を相次ぎ実施。これも国内生産を押し上げる一因となった可能性もある。

 世界鉄鋼協会のまとめによると、3月のインドの粗鋼生産量は速報ベースで前年同月比8・2%増の900万トン。14カ月連続増加で、初めて900万トンの大台に乗せた。一方の日本は886万トン。初めてインドが日本を上回った。

 1~3月ではインドの2576万トンに対し、日本は2623万トン。まだ日本が上回っているが、17年通期では逆転する可能性が濃厚だ。

国内需要好調

 インドの鉄鋼生産を押し上げているのは国内景気の底堅さ。インフラ関連に加え、自動車関連も好調で、鋼材需要は昨年来、堅調に推移している。現地の鉄鋼メーカーはここ数年、設備の拡張を行っており、増加する需要に対し供給能力も十分にあるようだ。

保護主義策も後押し

 同国の保護主義政策が生産増につながっている面も否定できない。インドは2015年に熱延鋼板を対象にSGを導入。同年には、基準価格を下回る鋼材の輸入を制限する最低輸入価格制度も導入した。同制度は今年に入って撤廃したが、SGによる上乗せ関税は現在も継続している。

 このほか熱延コイル、厚板、冷延鋼板については反ダンピング(不当廉売、AD)措置をとっている。国内産業の保護・育成が狙いとみられる一連の政策が結果として、国内生産を押し上げる一因になっているとの見方もある。

 インドの鉄鋼需要は今後も拡大する可能性が濃厚。世界鉄鋼協会が先週発表した短期見通しによると、インドの今年の鋼材需要量は8860万トンと16年比で6・1%増加する見通し。さらに18年も7・1%の成長が見込まれている。鉄鋼生産の国別ランキングでは今後、1位中国、2位インド、3位日本が定着しそうだ。

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