役をもらってこそ役者 映画「ラストコップ THEMOVIE」に主演 GWに全国公開

 俳優の唐沢寿明(53)が主演する映画「ラストコップ THE MOVIE」が5月3日から全国公開される。

  唐沢が演じるのは、横浜中央警察署刑事課の巡査部長・京極浩介。爆発事故に遭い30年もの間、昏睡(こんすい)状態だったが、奇跡的に目覚め「刑事の勘」を頼りに事件を解決していく熱血漢だ。

 作品は、ドイツで放送されていた刑事ドラマを元に、2016年に日本でテレビドラマ化されたアクションコメディーの劇場版。署内に導入されることになった人工知能が悪者の手に渡り、消滅の危機に陥った横浜の街を、京極が救おうと立ち上がる。

 「東映アクションクラブ」に所属した無名時代の唐沢は、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」などシリーズものでスーツアクターとして、下積みを経験。アクションはお手のものだ。主演した「イン・ザ・ヒーロー」(14年)では、高さ8・5メートルからのジャンプや前代未聞の100人斬りなどで見る人を圧倒した。今作でも、大立ち回りを見せるなど、見どころ満載だ。

 相棒の若手刑事・望月亮太(窪田正孝)を困らせることもしばしばだが、息はぴったり。

 「アクションに夢中で、何の罪で犯人を追いかけていたんだっけ?と窪田と慌てて台本を確認したこともある。事件は解決しているはずなんだけどね…」と苦笑い。

 映画では泣きながら食らいついてくる望月との絆も描かれ、ホロリとさせられる。

 藤木直人、竹内涼真ら二枚目として起用された面々も、唐沢らの奔放な演技に影響され、少しずつ自分を解放。最初は「かっこいいままでいたい」とかたくなだった藤木も、おちゃめな素顔をのぞかせ、アドリブが飛び出すなどノリノリだったそう。

 「オレはふたご座だから、もともと二面性を持っている。真剣にふざけると、自分だけの色になる」と胸を張る。

 「20代のころは、やたらに笑うものじゃない、男が笑うなんてかっこ悪い」と思っていた。しかし、「誰かに声を掛けてもらい、役をもらってこそ役者と言える。来た仕事に全力で向かい、結果を出し続ける方がかっこいい」と開眼した。

 30年眠り続けていた京極は見た目はおじさんだが、心は20歳のまま。場を和まそうと口にするギャグは昭和の香りが漂う。当時を知っている人には懐かしく、平成生まれには新鮮。これが幅広い年代から支持されることにつながった。

 「知り合いの4歳の女の子に、『コマネチ!』と叫ばれた時は驚いたよね」と目を細める。映画撮影の最終日は、ちょうど下校の時間にぶつかり、スタジアムジャンパーを愛用する京極の姿を見つけた小学生らに、追いかけられた。

 目まぐるしい日々。愛車でドライブするのが至福の時と笑う。

 「肩肘をはらず、家族で楽しめる一本になった。連休の間、劇場に笑いに来て」と呼びかけた。

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