火山の魅力と危険性伝える 箱根ジオミュージアム3周年

 箱根山・大涌谷にある火山情報の発信拠点「箱根ジオミュージアム」(箱根町仙石原)が、開館から3年を迎えた。装いを新たにした展示では、大涌谷周辺の火山活動が活発化したことを踏まえ「火山の魅力だけでなく、その危険性についても伝えていきたい」との思いを込めたという。臨時休館を余儀なくされた時期もあったが、その経験は使命感をさらに強くさせている。

 ミュージアムは、老朽化により閉館した大涌谷自然科学館の後継施設として、2014年4月に大涌谷園地にオープン。火口などから噴煙を上げる活火山の恵みや脅威を伝えてきたが、開館3周年を記念して初めて展示をリニューアルした。

 目玉は、新たに設置された大涌谷の見どころを紹介する大型パネル(縦約1・5メートル、横約9メートル)と、大涌谷の模型。火山活動が15年4月下旬から活発化したことでできた新しい火口や、地殻変動を観測する装置などを解説している。

 火口付近で見つかった約20センチ大の硫黄の結晶なども紹介。子どもたちにも関心を持ってもらえるように、館内を回りながらスタンプラリーを楽しめる工夫も凝らした。

 また、同年5月に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に上がったことを機に臨時休館してから、16年7月に園地内の立ち入り規制が一部解除されて営業を再開するまでの、約450日間を振り返る「ミニ写真展」も開いている。

 山口珠美学芸員は「今までにないことがあって意識が変わった。その危険性についても情報発信する必要性を肌で感じた」と決意し、こう続ける。「観光客が『楽しかった』『黒たまごがおいしかった』とだけ思って帰路に就くのではなく、魅力と危険性の両面を併せ持つ火山について深く理解してもらえたら」 写真展は10日まで。開館時間は午前9時〜午後4時。問い合わせは、同ミュージアム電話0460(83)8140。

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