「素直な字」 鎌倉、ダウン症の書家・金澤翔子さんの書展

 県立障害者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件を受けて県が憲章として掲げた「ともに生きる(社会)」の題字の書を手掛けたことで知られるダウン症の書家・金澤翔子さんの書展が7日まで、鎌倉市山ノ内の建長寺で開催されている。

 1985年、東京生まれの金澤さんは母親の泰子さんが書家だったことから、5歳から書を始め、20歳で初個展。その後、京都・建仁寺や奈良・東大寺など数多くの寺社で揮毫(きごう)や書の奉納を行ってきた。建長寺での個展も毎年開催しており、今回が9回目。

 今回は建長寺から床の間に掲げるために依頼されて書いた「四十九年一字不説」をはじめ「仏心」「福寿」「春爛漫(らんまん)」など、迫力あふれるびょうぶ仕立てにした書11点が展示されている。「依頼された仏陀(ぶっだ)の教えは、49年間説法をしてきたが悟りは言葉では語れませんよ、という意味で、言語障害が強かったことから翔子にも通じる世界」と泰子さん。会場には来場者が絶えず、障害のある子どもを抱えた親たちも遠方から訪れているという。さいたま市から昨年に続き訪れたという女性(57)は「素直な字で心が洗われるようで、また見に来ました」と話していた。

 観覧は拝観料のみ(大人・高校生500円、小中学生200円)。7日は午前10時〜午後3時。問い合わせは、建長寺電話0467(22)0981。

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