スズキ、イシカワ、ヒガシオカ…MLBで意外に多い、日本にルーツ持つ選手

ニューヨーク・ヤンキースは捕手ゲイリー・サンチェスの故障者リスト(DL)からの復帰に伴い、カイル・ヒガシオカ捕手を3Aに降格させた。ヒガシオカはカリフォルニア州出身の日系4世。田中将大とのバッテリーも途中出場で実現した。

ヤンキースのカイル・ヒガシオカ【写真:Getty Images】

カート・スズキはMLBを代表する捕手、ヒガシオカは田中とのバッテリーも実現

 ニューヨーク・ヤンキースは捕手ゲイリー・サンチェスの故障者リスト(DL)からの復帰に伴い、カイル・ヒガシオカ捕手を3Aに降格させた。ヒガシオカはカリフォルニア州出身の日系4世。田中将大とのバッテリーも途中出場で実現した。

 日本人MLB選手とは別に、MLBでは日系の姓を持つメジャーリーガーも散見される。

 今やMLBを代表する捕手の一人であるアトランタ・ブレーブスのカート・スズキは、日系3世。キヨシというミドルネームも持っている。ハワイ出身。祖父母は愛知県出身だ。すでにMLB在籍11年、5月5日時点で捕手としての出場試合数は1165試合、これはMLB史上82番目だ。

 このカート・スズキと2007年に「日系人バッテリー」を組んだ投手が、同じく日系3世のシェーン・コミネ。ケンジというミドルネームを持つ。彼もハワイ出身。MLB在籍は2年にとどまり、4試合で0勝0敗、防御率4.86に終わった。

 2015年まで主に一塁手としてサンフランシスコ・ジャイアンツ、ピッツバーグ・パイレーツなどで活躍したトラビス・イシカワは日系4世。ミドルネームはタカシ。8年間で488試合に出場し、23本塁打を打っている。

 日系の姓を持つ選手としては、1975年にセントルイス・カージナルスで投げたライアン・クロサキが古い。ミドルネームはヨシトモ。7試合で0勝0敗、防御率7.62で終わった。彼もハワイ出身だ。

現ドジャース監督のロバーツも

 ライアン・クロサキとハワイのカラニ高校でチームメイトだったレン・サカタは、1977年にメジャー・デビュー。日系3世。ミドルネームはハルキ。この年はフジテレビ系列で日本でのMLB中継が始まった年であり、ミルウォーキー・ブルワーズの二塁を守るサカタの活躍は日本でも注目された。ブルワーズ、オリオールズなどで565試合に出場。のちにロッテの2軍監督、コーチを務めている。

 ドン・ワカマツは父が日系3世、オレゴン州出身。捕手として1991年に18試合だけシカゴ・ホワイトソックスでプレー。2009年には日系人初のメジャーリーグ監督となり、2年間イチローがいたシアトル・マリナーズで指揮を執った。

 日本人の姓を持たない主な日系メジャーリーガーとしては、母が日本人だったマイク・ラムがいる。シンシナティ・レッズ時代の1978年には日米野球で来日。MLB通算で1517試合90本塁打を記録している。1982年は大洋でプレーした。

 現在、ロサンゼルス・ドジャースの監督であるデーブ・ロバーツも母が日本人。主に外野手として832試合に出場。2011年からサンディエゴ・パドレスでコーチ(1試合の代理監督も)、2016年からドジャースの監督となり、前田健太らを擁するチームの采配を振るっている。

 MLBの一線で活躍する選手の中にも、日本人の血を引く選手がいる。

 2014年まで救援投手として活躍したブランドン・リーグは曽祖父母が日本人。現在は独立リーグ。ワシントン・ナショナルズの先発投手、ジェレミー・ガスリーは母が日系4世。今季はメジャー1試合登板後に戦力外となり、FAとなった。トロント・ブルージェイズの内野手、ダーウィン・バーニーは祖父が日本人。フィリーズ、レッドソックスなどで活躍し、オールスター出場2回、ゴールドグラブ賞受賞4回を誇るシェーン・ビクトリーノもハワイ出身で祖父が日本人。また、マーリンズでイチロー、田澤純一らとチームメイトのクリスチャン・イエリッチも祖父が日本人だ。

 MLBでは、多くの国にルーツを持つ選手がプレーしている。日本にルーツを持つ選手も少なくはないのだ。彼らの活躍にも注目していきたい。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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