日本などの厚板AD、米ITC「クロ」最終決定

 米国国際貿易委員会(ITC)は5日、日本など8カ国・地域から輸入される厚板(合金鋼含む)に対し、アンチダンピング(反不当廉売=AD)調査の結果、委員投票5対0で被害があるとし「クロ」を最終決定した。これにより日本には原則14・79%、JFEスチールとシマブンコーポレーションには48・67%のAD税率を賦課することが確定した。

 日本鉄鋼連盟は8日、「不当かつ極めて遺憾」とする進藤孝生会長(新日鉄住金社長)の声明を発表した。

 日本からの対米厚板輸出は、AD調査が始まった2016年時点で3万トン程度へと前年から半減しており、今回のクロ最終決定で一段と落ち込む余地は小さい。米の対日AD案件は、現在調査中の異形棒鋼(鉄筋用棒鋼)をもってほぼ一巡しそうだが、トランプ政権は通商拡大法232条の適用にも動いており、今後の行方が不安視される。

 同ADは昨年4月にアルセロール・ミッタルUSA、ニューコア、SSAB米国法人が12カ国・地域を対象に提訴したもの。中国、ブラジル、南アフリカ共和国、トルコの4カ国に対しては先に「クロ」の最終決定がなされ、中国はADで68・27%、不当な補助金に対する相殺関税(CVD)でも251%が課されることになった。

 日本以外では、オーストリアが53・72%、ベルギーが5・4~51・78%、フランスが8・62~148・02%、ドイツが5・38~22・9%、イタリアが6・08~22・19%、韓国が7・39%、台湾が3・62~6・95%。主要なメーカー別では、独ディリンジャー・フッテンウェルケが5・38%、台湾の尚承鉄鋼が3・62%、中国鋼鉄(CSC)が6・95%となった。

 ITCは今回の投票で、韓国にはCVDでも「クロ」を最終決定した。3月に商務省は韓国に対して4・31%のCVD税率を課すことを最終決定しており、韓国材にはADと合わせ12%弱が課される。ただ韓国・ポスコは米向けの厚板輸出量が年30万トン規模と多く、比較的税率が低いことから措置の発動後も一定の輸出を続けるものと見られる。

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