イチローのプレーは「最高の楽しみ」 野球熱高いセントルイスで今年も敬意

マーリンズのイチロー外野手は8日(日本時間9日)、本拠地でのカージナルス戦で8回に田澤の代打として出場し、右前打を放った。2試合連続安打でメジャー通算安打は「3037」に。歴代24位のロッド・カルー(通算3053本)まで残り「16」本とした。野球熱が高いことで知られる敵地セントルイスのメディアは、メジャー最年長野手となったイチローの“流儀”を紹介し、「この男のプレーを見ることは最高の楽しみ」と称賛している。

マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

敵地TV中継で“流儀”を称賛、イチローの準備&プロ意識は「比類なきもの」

 マーリンズのイチロー外野手は8日(日本時間9日)、本拠地でのカージナルス戦で8回に田澤の代打として出場し、右前打を放った。2試合連続安打でメジャー通算安打は「3037」に。歴代24位のロッド・カルー(通算3053本)まで残り「16」本とした。野球熱が高いことで知られる敵地セントルイスのメディアは、メジャー最年長野手となったイチローの“流儀”を紹介し、「この男のプレーを見ることは最高の楽しみ」と称賛している。

 8回裏、代打イチローが先頭で打席へ。すると、敵地セントルイスで試合を中継していた「FOXスポーツ・ミッドウェスト」の実況は、背番号51を敬意とともに迎え入れた。

「この男のプレーを見ることはいつでも最高の楽しみです。キャリア通算3036安打。歴代24位のロッド・カルーまで残り17本です。今季はまだ41打席しか立っていません。27歳でキャリアを終える選手もいますが、彼はそこからメジャーのキャリアをスタートさせました」

 すると、現役時代にカージナルスなどでプレーした元捕手の解説者、ティム・マッカーバー氏はここで、日米通算での安打数も紹介。そして、この打席では両者がイチローについて語り続けた。

 まずは、今年4月19日の古巣マリナーズ戦の9回最終打席で飛び出した”凱旋弾”の場面について、実況が「彼はこういうヒットをたくさん打ってきました。観衆は歓喜で爆発していましたね。彼にとっては感動的な瞬間でした。とてもストイックな人間ですが」と言及。さらに、英語を完璧に操りながらも、あえて取材対応には通訳を介するイチローの“流儀”に、マッカーバー氏は「ここまで仕事を成し遂げた人間には、エキセントリックなやり方を選ぶ人もいます。彼はまさにそう。完璧であることをエキセントリックなまでに追求しています」と脱帽していた。

イチローのトレーニングを紹介「他の選手はこれはできないと言ってる」

 イチローの崇高なプロ意識の代名詞とも呼べるルーティンについても、実況は「比類なきもの」と絶賛。膨大な数のストレッチをこなすこと、スタジアムに個人専用のウェイトルールがあることを伝え、「多種多様なウェイトやストレッチを高めるマシーンですが、他の選手はこれはできないと言っています」と紹介している。

 イチローとセントルイスの野球ファンの間には、特別な“絆”が存在する。2015年、敵地ブッシュ・スタジアムで行われたカージナルス戦で日米通算4193安打として、メジャー歴代2位のタイ・カッブ(通算4191安打)を抜いた際、セントルイスの観客はスタンディングオベーションで快挙を称えた。また、メジャー通算3000安打に迫った昨年7月15日、ブッシュ・スタジアムで行われたカージナルス戦でイチローが打席に立つと、またスタンディングオベーションが沸き起こった。カージナルスのヤディアー・モリーナ捕手が、イチローに十分な喝采を送る時間を作るために、わざとホームプレートを外すなどした粋な計らいも話題になった。

 イチローがカージナルス2番手ソコロビッチの6球目のチェンジアップを捉えてライト前に運ぶと、実況は「ライナーで(二塁手)ウォンを抜いた。ライト前ヒットです」と伝えたが、野球通が多いとされるセントルイスの中継には、背番号51への敬意があふれていた。

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