2011年にデビューした女性歌手のベスト盤。最大の持ち味は、憂いあるハスキーな歌声。激しい曲中心の“noir”も良いが、入門的には穏やかな曲中心の本作“blanc”がオススメ。
全14曲中、絆を例えたRADWIMPS野田洋次郎提供の『蝶々結び』が特に有名だが、彼女の歌声を通すと全曲にほのかな灯りが見えてくる。特に、『六等星の夜』や『everlasting snow』など夜や冬の楽曲では顕著だ。
新録2曲は、旅立ちを歌った『March of Time』と、歌に祈りを込めた『歌鳥風月』で、もう一歩踏み出す感じがラスト収録にふさわしい。孤独を知るからこそ、前向きな言葉にも現実味がある。
付属の映像は、物語性の高いミュージックビデオや、歌声が空気を一変させるLIVEを収録。特にビデオは各映像監督の思い入れからか、意外な方向に物語が展開する作品もあるが、これもまた様々な想いを掻き立てる彼女の歌声ゆえだろう。本作の鑑賞により、余計な情報に惑わされず、本質を見極めたくなるはず。
（ソニー・初回限定盤A CD+ Blu-ray Disc 3685円＋税）＝臼井孝
