南武線の歴史語る 川崎市中原区

◆市民劇「南武線誕生物語」前にシンポジウム 川崎の発展を支えてきた南武線90年の歴史を考えるシンポジウム「夢見る二人の男を語る」が8日夜、神奈川県川崎市中原区で開かれ、市民ら約130人が参加した。13日から上演される川崎郷土・市民劇「南武線誕生物語」を盛り上げようと21世紀川崎教育フォーラム(江頭秀夫代表)などが主催した。

 同劇の脚本担当を務める劇作家小川信夫さんが講演。同線開通の陰に、多摩川の水害に苦しむ住民らが堤防設置を要望した「アミガサ事件」のリーダー秋元喜四郎と、浅野財閥を築いた浅野総一郎の葛藤があったことを説明した。「秋元は貧しい村民のために砂利鉄道をつくろうと考えた一方、公害の元となる石灰石をセメント工場に運ぼうという浅野の意図に抵抗があった」と話し、「その葛藤、人間ドラマを見てほしい」と呼び掛けた。秋元の孫で中原区在住の目崎ツギ子さん(81)と、浅野のひ孫で幸区在住の土谷万里子さん(41)らによるパネルディスカッションも行われ、2人は「南武線は、川崎になくてはならない電車。市内を立派につないでくれた」などと先祖の偉業をたたえた。

 市民劇は13、14日に多摩市民館、19〜21日にエポックなかはらで開かれる。有料。問い合わせは、同上演実行委員会電話044(222)8878。

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