【創立80周年 日軽金グループ、アルミ押出材メーカー理研軽金属工業】〈前田富夫社長インタビュー〉「チーム日軽金」総合力で安定成長 非建材分野の深掘り推進

 日本軽金属グループのアルミ押出メーカー、理研軽金属工業(本社・静岡市駿河区)は今月会社創立80周年を迎え、きょう12日静岡市内で記念式典を開催する。アルマイト加工を原点にアルミサッシ、日用品、建材といった数多くの独自商品の開発、販売を推進。スパンドレル、ルーバーで国内トップシェアを誇るなど、アルミ建材分野で確固たる地位を築く同社のこれまでの歩み、将来展望を前田富夫社長に聞いた。(佐野 雄紀)

――創立80周年を迎えた。

理研軽金属工業・前田社長

 「当社は1937年、アルマイト加工の研究を行う財団法人理化学研究所・静岡工場としてスタートを切った。戦後はサッシ、圧力鍋といった日用品、建材の3商品群を武器に業績を伸ばし、78、96年の事業譲渡を経て建材分野に特化した」

 「取引先各社など皆様のご支援、ご協力により事業を継続、拡大できた。深く感謝したい。同時に『チーム日軽金』の総合力を生かし、さまざまな面でサポートを得られたことが安定成長につながった要因だ」

――近年の事業環境をどう見るか。

 「ビル建材にとって需要の指標となる、非居住建築着工床面積はリーマンショックの落ち込み以降順調に回復してきたが、13年を境に減少に転じた。今後もスポット的な需要の盛り上がりはあるとみられるものの、人口の減少傾向もあり大きな回復は見込み難く、厳しい状況が続くと見ている」

――製品別の戦略を伺いたい。主力の建材関連は。

 「既存製品のアイテム数拡大、バージョンアップがカギとなる。具体的には、ルーバーでは木目調のシートを貼付し、意匠性を高めたものを市場投入したところ売り上げ数量が伸長。また屋内用吸音機能付き仕上げ材『アルミッシモ』も、日軽金の研究所の協力を得て開発した新タイプの採用実績が拡大した。今後も需要を的確に捉えた上で開発を進めたい」

 「営業面では引き続き、設計事務所などに働きかけて自社製品の採用を促す『川上営業』に注力している。当社製品を選んでいただくこの取り組みに加え、新規開拓も積極化する〝攻め〟の姿勢で数量の維持、拡大を狙う」

――非建材分野はどうか。

 「引き合いがありスポットの案件として開発、販売する商品は増加傾向ながら、依然大きな商流を捉え切れていないのが現状だ。『チーム日軽金』各社のインフラ、情報を活用できる強みの下でマーケティング、開発など進め、早急に新たな事業の柱を築けるよう努力したい」

――最近ではオンライン販売にも注力している。

 「アルミ製点検口からスタートしたが、製品の認知度を高めることも狙って、現在ではスパンドレルなど取り扱い点数を大きく増やした。将来的にはグループ全体の製品をラインアップし、販売する窓口機能を持たせることも検討している」

――今後の設備増強計画は。

 「近年部分更新が中心だったが、5年後から10年後をめどに押出設備、表面処理設備を全面更新したいと考えている。金額、工期面でも大掛かりな投資となることから、企画立案など現段階から慎重に準備を進めている」

――人材育成はどのように進めるか。

 「営業部門では建築図を基に作製される『施工図』の知識習得を積極化している。昨年から教育期間を半年から一年間に伸ばし、読図から製図までのスキルを体得。知識を生かしたきめ細かいニーズ捕捉を通じて、建材市場のさらなる開拓を図る方針だ」

 「また社内のコミュニケーション深化、改善活動促進を狙って、約15年ぶりに全社員が参加する小集団活動を再始動した。今後もより良い会社づくりに向けた取り組みを推進する」

――今後の業績目標は。

 「16年度はグループ内業務が増加したこともあり、売上高が約80億円まで伸長する見通しだ。今後も建材分野の拡販、非建材の開発加速を図り、20年度売上高100億円の達成を目指す」

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