大杉漣さん、サッカーとヴォルティスを語る 徳島ヴォルティス  ホームでの岐阜戦に来場

徳島県小松島市出身の俳優・大杉漣さんが、13日に鳴門ポカリスエットスタジアムで行われた徳島ヴォルティスのホームゲームに訪れました。試合開始前に、徳島ヴォルティスとFC岐阜の両チームに花束を贈呈するプレゼンターを務めた大杉さん。ヴォルティスの前身・大塚FC時代からの熱心なサポーターでもあり、仕事の合間を見つけてはサッカー観戦をしたり、自身のチームでサッカーを楽しんだりしているようです。試合前、報道陣の取材に応じ、今季のヴォルティスへの期待やスタジアムで見る面白さを熱く語ってくれました。

徳島ヴォルティスの岩尾主将に花束を贈る大杉さん(右)=5月13日、鳴門ポカリスエットスタジアム

◆贈呈はサッカー好きおじさんの代表として

同じ高校出身で、ヴォルティスのボランティアを中心的にやっている知人から頼まれました。14日に徳島で久しぶりに音楽ライブがあって、13日の徳島対岐阜戦を見たいから、オフタイムにしてもらって見に行くと言うと「漣さん、花束贈呈やってください」との要請があって受けました。

今日は仕事ではなくて、プライベートと言ったら変ですけど、1サポーターなんで僕も。サッカーが好きなおじさんなんで、そのおじさんを代表して、花束贈呈をやらせていただこうかなと思いました。

◆観戦は斜め45度から

ゴール裏よりも僕の場合は、斜め45度、A自由席で見ています。(ヴォルティスの会員証を見せながら)年間会員になっていて、そこでだいたい見ています。アウェーでは年間パスを使えないので、東京のほうでの試合は、自分で自由席を買っています。時間があればサッカーをやるか、見るかどちらかをやっています。

ヴォルティスの試合はこの間、東京で見ました。今年は、徳島戦に限っていうと、3つ4つぐらい見ていると思う。あとはインターネットのDAZN(ダゾーン)で見たり、J3の試合を見に行ったりすることもあります。人に迷惑を掛けないサッカー好きなんですよね。

基本的にサッカーをやるのが好きで、自分でおじさんばかりの草サッカーチーム「鰯クラブ」を作ってやっています。作ってから26年、Jリーグよりも1年長いかな。10番を付けてやっています。前は、結構得点をばんばん決めて不動の10番と言われていたんですが、今は動けない「不動」の10番になってしまっています。

◆サッカーを通して地元を応援

気迫に満ちた表情でゴールに迫る渡選手

ボールを蹴った面白さは、ボールを蹴った人間が味わえる。ギターを弾いて、ギターを弾く楽しさを思い知る、音楽の楽しさを知るのと同じように高校時代に蹴り始めて、ボールに取りつかれているような人間だと思います。

ボールを蹴った楽しさを知っているから、同時にボールを蹴る人間の気持ちも分かる。徳島に、地元に、プロサッカーチームができるなんて、昔は思ってもみなかった。人より地元愛が深いわけではないけれども、人相応の地元愛はあるので、できることとしたら、応援ができるかなという意味で、サッカーを通して、やらせてもらっています。

◆リスクを持つことで先が見える 今季のヴォルティス

ロドリゲス監督でサッカーが変わった感じがします。前向きというか、攻撃的になっている感じがしますね。前でもいきますし、後ろのほうでは、キーパーがすぐ蹴らないで、バックの選手に、ボールを横に出しますよね。あれは面白いなと思ってずっと見ていたんですけども、それでいいときには前に出す。リスクはあると思うんですけど、リスクを冒してでも攻めようという姿勢が見えるので、楽しいサッカーになってきているなと。もう少し、選手たちに浸透していけば、さらに徳島はいいサッカーができるんじゃないかなと。監督によってサッカーがこんなに変わるんだと改めて感じています。

選手の思いも、戸惑いながらもあるんでしょうけども、一つ一つ重ねて、失敗を恐れずに成長していくというのは、僕らの仕事、俳優の仕事もそうなんですけど、何か怖がって安心するところで演ずるよりも、安心するところでプレーするよりも、リスクを負うことによって先が見えることもあると思う。挑んでみる力、そういう気持ちはものすごく大事だと思う。徳島のサッカーがこれから今以上に、いい感じになるのではと思っています。

◆徳島には失敗を恐れずに挑んでほしい

サッカーってなんでしょう、見に来ていて、正直言うけど「なんやねん、この試合」て思う試合もある。皆さんもきっと感じることがあるでしょ。僕らの仕事にもあるんですよ。一生懸命やったけどうまい結果が出ないってことがある。たまに、J2でもJ3でもJ1でも、カテゴリーの問題じゃなくて、心に届く試合があるんですよ。それを見たいと思うことがあるんですよ。選手はそれを届けるべき。そういう試合をなるべく僕らは見たいし、そういう試合をできるようになってもらいたいなと思う。

技術だけじゃなく、サッカーに対する、試合に対する気持ちというか深さというか、勝ちたい気持ちももちろんあるんでしょうけど、”心に届いている”というものに触れたとき、応援席にいてもうれしいし、テレビを見たときもうれしい。そういうものがあるんですよね。だから、徳島には失敗恐れずにもっともっと挑んでほしい。もっともっと上が、まだまだあるわけですからね。

◆心に届く試合を見たい

徳島にはJ1に上がってほしい。でも、J2でできる面白さもある。それは上に上がろうとするがむしゃらさ。僕はどちらかというとバイプレーヤーズ。主演もやるし、脇役もやる。主演がJ2だとは思っていないけれど、J2の中でも主演的な試合もあるわけですよ。作品に対する挑み方、試合に対する挑み方、姿勢の問題だと思います。

J3でも面白い試合があるんですよ。ある意味、芝生の匂いよりも土の匂いがする、人間が戦うという、肉と肉の戦い、気持ちと気持ちのぶつかり合いが見え隠れする試合がある。確かにJ1に上がってもらいたいが、心に届く試合、響く試合、そういうものを一つでも多く、サッカーで見たいなと思います。

◆生で見る面白さを味わって

終了間際に同点ゴールを決めた徳島の岩尾主将(右から2人目)=鳴門ポカリスエットスタジアム

テレビで見ていてもそういうこともあるんですけど、時間がある限り、僕はスタジアムに足を運んで、生で見る面白さを味わっている。いろんな方に、たまには家を出て、ぶらっと、家族でも子どもでも、連れてもいいし、一人でもいいし、出掛けてみて行ってみたら、ちょっとテレビで見るのと違うぞという生の面白さ、僕の感じでは映画館にいるのとよく似ているんです。スクリーンを通してみるのと、テレビの画面で見る、DVDで見るといろんな見方できるけれども、たまには映画館に行ってみないかという気持ちに似ている。なるべく映画館行って映画を見ます。それと同じです。

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試合前「(心に)刺さる試合が見てみたいです」と語っていた大杉さん。試合はヴォルティスが、岩尾憲主将の試合終了間際の執念のゴールにより、引き分けに持ち込む劇的な試合を見せてくれました。

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