佐伯鉄産懇会長、中国市況軟化「在庫調整で一過性」 国内需要、前年比プラスで推移

 鉄鋼産業懇談会の佐伯康光会長(新日鉄住金副社長)は12日、懇談会終了後に「海外経済はおおむね堅調。中国も経済成長が鈍化する懸念がある中で、今は政府の景気対策で支えられており、鋼材消費は堅調」としながら「中国の鉄鋼生産は3月に7200万トンと月間過去最高に。これは明らかに需要の水準を超えており、在庫がたまり、減らない結果となっている」と言及。「中国市況軟化は在庫調整による一過性とみている。中国ミルの生産を日々注視していきたい」と述べた。

 国内鉄鋼需要は「4~6月は前年比プラスとなっており造船向けを除いて底堅い。7~9月も同様の基調でいくのではないか」との見方を示し、在庫は「3月末の薄板3品在庫は380万トンで低水準」とした。

 輸入鋼材について「3月は49万トンと前の月比で4万トン増えて高水準。とりわけ韓国材が増えている。3月の入着価格も、ホットの韓国材が昨年ボトム比1万3千円しか上がっておらず、不公平な貿易にならないようにモニタリングしていく」と語った。

 12日に公表された4~6月の鉄鋼生産計画については「需要見通しよりも数量が上振れており、予想以上に高いレベル。実需がそうなってくるのか注意深く見極めていく必要がある」とコメントした。

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