新日鉄住金エンジの免震装置「球面すべり支承」、高性能の低摩擦型開発 適応範囲拡大、市場規模2.5倍に

 新日鉄住金エンジニアリング(社長・藤原真一氏)は18日、免震装置の球面すべり支承「NS―SSB」の低摩擦タイプを開発したと発表した。従来以上に高い免震効果を発揮。高い免震性能が求められる建物へ対応可能となり、市場規模は約2・5倍に拡大することが想定される。今年4月には国土交通大臣認定を取得した。同社は「NS―SSB」の17年度販売目標15億円のうち、低摩擦タイプで3分の1の売り上げを目指していく方針。

免震装置の球面すべり支承「NS-SSB」構造図

 本製品は厚板を球面加工した上部・下部コンケイブプレートにステンレス製のすべり板を一体化させ、その間にスライダーを配置。地震時にはスライダーが上部・下部のコンケイブプレート間で振り子のように移動し地震エネルギーを吸収しつつ建物を元の位置に回復する。建物重量の変化に免震性能が影響しないことが最大の特長で積載重量などの変化が大きい物流施設を中心に14年の販売以来、累計受注17件・1千台の実績を重ねてきた。

「NS-SSB」の設置状況

 「低摩擦タイプ」は構成部材のスライダーに特殊な潤滑剤を染み込ませた。小さな地震から大きな地震まで建物への揺れを低減できるため、防災拠点や市庁舎、病院、データセンターなどの施設への適用が可能となる。

 さらに優れた繰り返し性能を有するため従来と同様、長周期・長継続地震動に対しても有効となる。国内免震市場は約160億円とされており、同社では今後も鋼構造エンジニアリングと鉄の知見を生かし、さらに安定した性能を持つ鋼構造エンジニアリングを提供することで安心・安全な社会の実現に貢献していく方針。

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