サンエツ金属、リサイクル原料の鉛・ビスマス除去実用化技術にめど

 黄銅棒・線国内最大手のサンエツ金属(本社・富山県砺波市、社長・釣谷宏行氏)はこのほど、リサイクル原料に含まれる鉛やビスマスを取り除く技術の実用化にめどをつけた。ビスマスを添加した鉛レス黄銅棒の本格化に備えた技術開発。黄銅原料の溶解工程で化学物質を添加して、鉛やビスマスを分離・除去する。技術の性質上、活用は自社内のみで可能となる。これまで黄銅棒の主力生産拠点である砺波工場で溶解炉を改造し実証実験を行うなどして技術開発を進めてきた。

 同社では世界的に進む環境規制の強化を見越して、鉛の代わりにビスマスなどを添加し切削性の低下を抑えた鉛レス黄銅棒を品ぞろえしている。ビスマスは一般的な黄銅棒に入ると機械的な特性を低下させる性質がある。一方で鉛レス黄銅棒は鉛含有値を厳格に管理するため、鉛が入った従来のリサイクル原料が使用できない。

 ただ、同社が開発した技術を適用すれば市中から調達した一般のリサイクル原料で鉛レス材と一般材の双方が製造できる。またビスマスが混ざった場合には自社内で取り除くことが可能になる。技術開発は鹿児島大学などと産学連携しながら、経済産業省の補助を受けて進めてきた。

 釣谷社長は「現在までに技術開発のめどが立った。将来的に欧州などで環境規制が強化されてくれば、この技術が生きてくるだろう」と期待している。環境規制が本格化し、鉛レス黄銅棒の需要が大幅に高まれば、砺波工場での溶解鋳造炉増設も視野に入れる。

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