「あなた好み」AI作曲 東京都市大研究室が開発

 あなただけの曲、人工知能(AI)が作ります−。東京都市大学はAIを活用した自動作曲システムを使い、特定の個人の好みに合わせたオリジナル曲を作る企画に挑む。一般から思い出の3曲を募り、AIがメロディーの速さ、和音進行などの特徴を抽出。その人にとって初めて聞くはずなのに、どこか懐かしい曲を生み出す。6月の学園祭で披露する。

 作曲システムは、同大学メディア情報学部(横浜市都筑区)でAIを研究する大谷紀子教授の研究室が開発した。米グーグルをはじめ、さまざまな企業や大学が作曲するAIを開発しているが、大谷教授の研究は、万人受けするものではなく、特定の個人に「楽しい」「明るい」といった感情を抱かせる曲作りに主眼を置くのが特徴だ。

 AIは、一般的に使われるノートパソコンで動かし、1分ほどで作曲する。「AIについて詳しく知らず、漠然と『怖い』とか『何でもできる魔法のツール』と思っている人に応募してほしい。AIは本当にすごいのか、それともまだまだなのかを自分で判断する機会になれば」と話す。

 研究室では、すでに無数に作曲されている。大谷教授が好きな中島みゆきさんや小田和正さんの歌からAIが作った曲は、「他の人が聞くと陰があって元気になれないかもしれないが、自分の心には響いた」と笑う。

 気分に合わせた曲を次々に提案する、その人だけの“お抱え作曲家”。大谷教授が描く将来像だ。

 27日まで、思い出の3曲をエピソードとともに募集。抽選で選ばれた1人のためにAIが作曲し、6月11日に開催される学園祭「横浜祭」でフォークデュオ「ワライナキ」が演奏する。当選者にはCDも贈られる。詳細は大谷研究室電話045(910)2938。

© 株式会社神奈川新聞社