神鋼・加古川、第6連鋳稼働など上工程の集約順調 柴田所長「さらにコスト削減 」

 神戸製鋼所・加古川製鉄所(所長・柴田耕一朗専務)は、高炉など上工程集約化に伴う設備増強工事を順調に進めている。昨年12月には3号高炉の巻き替え工事が完了し、再火入れしたほか、新設した第6連続鋳造機(ブルームを生産)も今年1月に本稼働を始めた。また、溶銑予備処理工場にはすでに2基の脱硫炉と1基の脱リン炉があるが、8月には2基目の脱リン炉が稼働する予定だ。

第6連鋳建屋

 神鋼は22日、同製鉄所でマスコミ向けの工場見学会を開催。一連の上工程集約に伴う設備投資の進捗について、記者会見した柴田所長は「ほぼ満点の出来」と評価した。

 また、上工程集約に伴う収益改善について「神戸製鉄所は他社から購入したペレットやコークスなどを使用していたため、高コスト体質にあった」とし、上工程集約化によるコスト削減で150億円を見込むほか、2020年度までの中計期間中にさらに300億円の追加削減を目指している。ただ、「300億円(の追加削減)は満足できるレベルではない。さらなる上積みを目指したい」と話し、一層の収益改善策を検討していく。

 同製鉄所の稼働率は「96%」とし、ほぼフル稼働の状態。堅調な自動車生産を背景に薄板および線材は好調さが続きそうな情勢だが、厚板は造船需要が低迷する中、新日鉄住金・大分製鉄所の厚板ミルが今年8月にも稼働再開することに伴い「(厚板ミルの稼働率は)8割程度まで落ち込むだろう」との厳しい見通しを示した。

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