NPB記録達成も時間の問題? ソフトB今宮の犠打量産ペースがスゴイ

開幕直後はもたついていたソフトバンクだが、5月は14勝5敗(24日終了現在)で、首位楽天に2.5ゲーム差に迫っている2位につけている。才能ひしめくホークスで、目立ちはしないが今宮健太の存在感が大きくなっている。

ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】

NPB歴代選手の中でも群を抜く今宮健太の1試合当たりの犠打数

 開幕直後はもたついていたソフトバンクだが、5月は14勝5敗(24日終了現在)で、首位楽天に2.5ゲーム差に迫っている2位につけている。才能ひしめくホークスで、目立ちはしないが今宮健太の存在感が大きくなっている。

 今宮は、遊撃手として.989という高い守備率を誇るとともに、打線では「つなぎ役」としてリーグ最多タイの14犠打を記録している。

 2013年から3年連続でパの最多犠打を記録。昨年は中島卓也(日本ハム)に次ぐ2位に終わったが、リーグ屈指のバントの名手だ。通算犠打数は232で歴代26位、現役でも5位。通算数では大したことはなさそうに思えるが、そのペースは驚異的だ。1試合当たりの犠打数で見る歴代ランキングは次の通り(通算200犠打以上)。所属球団を表示したのは現役選手だ。

選手  1試合当たりの犠打数(通算犠打/試合数)
1今宮健太(ソ)0.307(232犠打、755試合)
2川相昌弘   0.279(533犠打、1909試合)
3平野謙    0.269(451犠打、1683試合)
4田中浩康(De)0.241(294犠打、1218試合)
5小関竜也   0.215(211犠打、982試合)
6細川亨(楽) 0.211(291犠打、1376試合)
7弓岡敬二郎  0.208(240犠打、1152試合)
8平野恵一   0.203(256犠打、1260試合)
9大引啓次(ヤ)0.196(221犠打、1128試合)
10小坂誠    0.195(267犠打、1371試合)

 今宮は、NPB歴代1位の犠打数を誇りMLB記録(512犠打)をも凌ぐ川相昌弘を、大きく上回るペースで犠打を量産している。

今宮に迫る犠打量産ペースを見せる広島・菊池

 長距離打者が目立つ現代のNPBにあっても、犠打が勝敗を左右する局面はたくさんある。ソフトバンクと言えば、強打者揃いで知られるが、その打線にあって今宮の渋い働きが、勝利をぐっと引き寄せているのではないだろうか。

 このペースで犠打を量産するとすれば、あと981試合=約7シーズンで川相の記録を抜く計算になる。今宮は今年26歳だから、順調ならば33歳前後で大記録を達成するかもしれない。33歳はまだ働き盛り。記録をさらに伸ばすことも考えられる。

 上記のラインキングには入っていないが、実は今宮の背中を追いかけるように犠打を量産している選手がいる。広島の菊池涼介だ。菊池は、674試合で198犠打を記録。1試合当たり.294となり、今宮に次ぐ高率だ。菊池もデビュー5年で3回リーグ最多犠打を記録している。

 今宮と同様に、菊池も守備の名手として知られる内野手だが、同時にスモールボールの担い手としても貢献度が高いと言えそうだ。

 最近は、2番に大型打者を据えるケースが増えているが、NPBの野球の基本は「2番=つなぐ打者」であるのは変わらないだろう。

 今宮健太と菊池涼介、2人の典型的な「2番」は、今後どこまで犠打数を増やすだろうか。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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