三菱マテリアル、「高精度温度計測システム」を開発

 三菱マテリアルは24日、温度計測器製造のチノーと共同でセメントロータリーキルン(回転式窯)内の過度な熱エネルギー使用を低減し、省エネルギー効果を高める高精度温度計測システムを開発したと発表した。温度計測による誤差が±25度の範囲内での計測が可能となり、大幅に精度が向上。セメント製造プロセスだけでなく、ダストが存在する各種工業炉などでの温度計測にも適用を目指し、20年度中に製品化する考え。

 高精度温度計測システムでは、新たに開発した2台の高性能放射温度計を使用し、キルン出口のクリンカ温度を測定するとともに、それに近い落口金物の温度を測定、得られた二つの温度からクリンカ温度を算出する新アルゴリズム(ダストキャンセル法)を採用した。本システムの開発に当たり、三菱マテリアルは温度測定位置の最適化、温度算出モデルの高精度化、計測システムの耐久性の検証。また同社の共同研究先である岐阜大学は、温度算出モデルに必要なダストによる光の減衰の測定を担当し、チノーは指向性の高い高性能放射温度計の開発およびデータ収集・演算システムの開発を担当した。

 このシステムを実物のキルンでも検証した結果、従来の放射温度計の計測誤差が150~マイナス60度程度であったのに対し、本システムの計測誤差は、ほぼ±25度範囲内となり大きく精度を向上することに成功した。

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