開幕時はローテ“2チーム分”も…困窮するホークス先発陣、苦境どう打開?

ソフトバンクの台所事情が困窮してきている。24日のロッテ戦で先発した摂津が5回途中4失点でKOされると、25日の同戦では中田が4回7失点で2戦連続でのKO。開幕前は盤石の層を誇ると見られていた先発投手陣に綻びが出てきている。

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:荒川祐史】

先発陣に相次ぐ負傷&不調、5月大きく勝ち越すも正念場迎えるソフトバンク

 ソフトバンクの台所事情が困窮してきている。24日のロッテ戦で先発した摂津が5回途中4失点でKOされると、25日の同戦では中田が4回7失点で2戦連続でのKO。開幕前は盤石の層を誇ると見られていた先発投手陣に綻びが出てきている。

 今季5戦連続未勝利の摂津は登板翌日の25日に、再調整のために登録を抹消された。だが、2戦連続の大量失点KOとなった中田に関しては、佐藤義則投手コーチが「他にいないんだから、(ローテから)外せないだろ」と話し、次回も先発のチャンスを与えられるようだ。

 今季ソフトバンクの開幕ローテは和田、武田、千賀、東浜、バンデンハーク、中田の6枚だった。だが、和田は左肘の張りを訴えて登録を抹消。先日、左肘の手術を行い、今季中に復帰できるかどうか、という状況だ。武田も右肩の炎症でリハビリ中。ブルペンでの投球練習は再開しているものの、まだ実戦復帰には至っておらず、1軍復帰までは1か月前後は要する見込みだ。

 大黒柱として期待された2枚が欠け、その穴を摂津や大隣、そして中継ぎから配置転換した寺原などでまかなってきたが、大隣、寺原は不振でファーム調整中。そして、摂津も2軍降格となった。

 現状でローテを守っているのは東浜とバンデンハーク、背中の張りで登板間隔が空いたものの、28日の日本ハム戦(札幌D)での復帰を目指す千賀、そして中田の4人。穴の空いた27日の日本ハム戦(札幌D)には、14年のドラフト1位・松本裕樹がプロ初先発する見通しとなっている。

摂津の穴を埋めるのは―

 摂津の穴は誰が埋めるのか。再調整組を除き、現状2軍で先発を務めているのは、山田、育成の伊藤祐、小澤、高橋、大隣。候補に挙がるのは、2軍で好投を続けている山田だろうか。中継ぎの石川を回す選択肢もあるが、中継ぎ陣にも負担がかかり、家庭の事情で一時帰国中の守護神サファテを欠く現状では、動かしづらいのではないか。

 23日に1軍昇格を果たした笠原は24、25日と連投したが、結果を残せなかった。26日には、昨季のドラフト1位・高橋がウエスタンリーグ中日戦(ナゴヤ)で先発する予定だが、前回の登板時に右足首に違和感を訴えており、よほどの好投がない限り、1軍昇格の可能性は高くない。先の「他にいない」という佐藤投手コーチの言葉通り、中田まで抹消してしまうと、補充するだけの人材がいないというのが現実だ。

 開幕当初は2チーム分のローテが組めるとまで言われたソフトバンク投手陣だが、負傷や相次ぐ不振で、苦しい状況に立たされている。それでも、5月は14勝6敗と大きく勝ち越してきているのだから、やはり強いのだが、楽観出来ない事態でもある。

 中継ぎ陣に負担がかかれば、シーズン終盤への影響も懸念される。首位・楽天と3.5ゲーム差となったソフトバンク。V奪還に向け、1つの正念場を迎えている。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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