東京製鉄、韓国から鉄スクラップ調達 6月中、九州工場に3000トン

中国産流入で〝玉突き〟

 東京製鉄がこのほど韓国産鉄スクラップの輸入を決めた。数量は約3千トン。九州工場(北九州市)に6月中に入着する予定。東鉄は過去にも韓国からスクラップを輸入した実績を持つ。韓国の輸出業者からのオファーを受け、東鉄は価格メリットがあると判断した。本来、韓国は鉄スクラップの輸入国だが、中国産スクラップの流入増で需給が緩むとの懸念が台頭。〝玉突き的〟な輸出オファーを東鉄が受け入れた格好。今後も韓国から日本向けの輸出が継続的に行われるか注視される。

 29日付で韓国紙コリア・スチール・ニュースが「韓国の輸出専門会社、GMRマテリアルズが東京製鉄向けに3千トンの輸出契約を締結した」と報じた。これに対し、東鉄は「個別の取引に関してはノーコメント」(奈良暢明取締役)としたが、複数の関係者が大筋で内容を認めた。ただ、報じられた契約価格の「H2基準でトン当たりFOB226ドル」については「九州工場の特級価格2万4千円から考えると高過ぎる」(関係者)とした。

 今回の韓国産スクラップの輸出は、急増した中国産スクラップの韓国向け輸出が影響したもよう。中国では品質が劣悪な「地条鋼」の生産を6月末までに停止すると政府が決定。中国から韓国向けの鉄スクラップ輸出が増え、これまで輸入国だった韓国のスクラップ業者が販売先を確保するため「4月以降、日本に対して輸出オファーを多く出してきていた」(同)としている。

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