米国の通商拡大法232条、6月にも結論か=米国商務省 問われる「ナショナル・セキュリティ」の範囲

 米国商務省は、鉄鋼輸入に対し安全保障を脅かす輸入品に規制をかけられる「通商拡大法232条」を適用するか、6月にも結論を出す見通しだ。現状では日本が対象となるか、対象品目がどこまで及ぶのか読み切れず、貿易関係者には戦々恐々とした空気が流れている。

 鉄鋼に対する232条はトランプ大統領が指示したもので、通常は調査開始から270日以内に結論を下すが、今回は早期に結審を出す方向で商務省は動いている。先週には公聴会が開かれ、月内にも利害関係者から意見書を募るが、製鉄所が多い「ラストベルト」の復活を公約としていたトランプ大統領の政策だけに、何かしらの措置が下る可能性が高いとみられている。

 対象となる品種も不透明だが、特に懸念されるのは地場の高炉メーカー、AKスチールが「ナショナル・セキュリティ」を連呼してことあるごとに通商措置を訴えてきた方向性電磁鋼板(GO)が含まれる恐れがある点。

 電磁鋼板は昨年にアレゲニー・テクノロジーズ(ATI)が採算悪化を理由に撤退して以降、北米では唯一AKのみが生産。1社購買を避けるべく地場ユーザーが日本を含め海外からの調達を増やしており、AKはGO輸入が増えているとしてけん制を強めている。

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