交流戦成績がシーズン成績に直結!? セパを代表する投打の「交流戦男」

30日から各地で交流戦がスタートする。過去のデータを調べていくと、交流戦はタイトルを狙うようなトップクラスの選手にとって「数字の稼ぎ時」であることが分かる。普段対戦しない相手との対戦では、駆け引きは少なくなり、思い切った勝負ができるからだろうか。

ヤクルト・山田哲人(左)と楽天・則本昂大(右)【写真:荒川祐史、編集部】

パ昨季首位打者の角中、セは2年連続トリプル3の山田が好成績

 30日から各地で交流戦がスタートする。過去のデータを調べていくと、交流戦はタイトルを狙うようなトップクラスの選手にとって「数字の稼ぎ時」であることが分かる。普段対戦しない相手との対戦では、駆け引きは少なくなり、思い切った勝負ができるからだろうか。

 直近3年間(2014-2016)の交流戦での成績をまとめてみた。まずはパ・リーグの打撃成績を見てみよう。規定打席(183打席)以上の打率5傑は次の通り。

○パ・リーグ
1李大浩 (SB)打率.370(165打数61安打11本32打点0盗)
2角中勝也(ロ)打率.368(220打数81安打5本47打点3盗)
3秋山翔吾(西)打率.367(248打数91安打5本27打点4盗)
4柳田悠岐(SB)打率.365(219打数80安打11本44打点16盗)
5鈴木大地(ロ)打率.342(225打数77安打2本27打点4盗)

 1位は一昨年までソフトバンクに在籍した李大浩。2厘差で追う2位には、昨季の首位打者・角中が入った。角中の47打点はパ・リーグ最多となっている。3位にはシーズン最多安打記録を持つ秋山、4位には2015年トリプル3の柳田と、脂の乗り切った選手たちが数字を荒稼ぎしている。ちなみに、本塁打は中村剛也(西武)が16本、メヒア(西武)が15本打っている。

 今季の角中は負傷離脱したこともあり、出遅れてしまった。チームも不振にあえいでいるが、得意な交流戦で息を吹き返すだろうか。盗塁は昨年までオリックスにいた現阪神の糸井嘉男が20盗塁でトップに立ち、続いて柳田が16盗塁となっている。糸井は昨年までの味方だったパ相手にどれだけ数字を叩き出すだろうか。

○セ・リーグ
1山田哲人(ヤ) 打率.339(233打数79安打17本49打点11盗)
2川端慎吾(ヤ) 打率.315(248打数78安打2本28打点1盗)
3菊池涼介(広) 打率.306(229打数70安打5本22打点10盗)
4鳥谷敬 (神) 打率.303(234打数71安打5本22打点6盗)
5坂本勇人(巨) 打率.302(222打数67安打8本31打点4盗)

 こちらも各球団のスター選手が並ぶ。しかし、パに比べると打率はやや見劣りするようだ。打率1位の山田哲人は両リーグ通じて最多の17本塁打を打ち、49打点も12球団で1位だ。セの選手では3年合計で2桁本塁打を記録したのは山田とエルドレッド(広島・13本)だけ。盗塁は、これも山田と大島(中日)の11盗塁が最多となっている。

 ちなみにDeNAの筒香嘉智は、168打数50安打6本25打点の打率.298で6位だ。また、鈴木誠也は規定打席に達してはいないが、3年間で98打数37安打5本塁打18打点2盗塁で打率.378と大活躍している。

 パ・リーグの角中同様、山田も今季は数字が低迷しているが、交流戦で復活が期待される。

パ投手は則本が圧倒、セは大野と山口が最多7勝

 投手陣の成績を見ていこう。規定イニング(60イニング)以上に達した投手の防御率5傑は次の通りだ。

○パ・リーグ
1則本昂大(楽) 防御率1.08(12登板8勝2敗100回)
2大谷翔平(日) 防御率1.71(12登板8勝1敗84回1/3)
3菊池雄星(西) 防御率2.34(11登板7勝1敗73回)
4西勇輝 (オ) 防御率2.61(12登板3勝5敗76回)
5美馬学 (楽) 防御率2.73(11登板3勝4敗62回2/3)

 NPB記録となる7試合連続2桁奪三振への期待がかかる楽天の則本が、交流戦でも抜群の成績を残している。投球回100イニングは両リーグ最多だ。続いて大谷翔平が2位にランクイン。8勝は則本とともに最多タイと大活躍だ。今季は投げられそうにないのが残念だ。3位には西武の菊池。すべての登板でクオリティスタート(6回以上投げて自責点3以下)をマークするなど一段と安定感を増した今季は、さらなる活躍が期待できそうだ。

○セ・リーグ
1大野雄大(中) 防御率1.20(11登板7勝1敗82回2/3)
2山口俊 (巨) 防御率1.51(10登板7勝3敗77回1/3)
3メッセンジャー(神) 防御率1.85(12登板5勝4敗87回1/3)
4藤浪晋太郎(神) 防御率1.88(11登板4勝3敗71回2/3)
5菅野智之(巨) 防御率1.95(11登板3勝6敗78回1/3)

 中日の左腕・大野雄大が交流戦を得意としている。続いて山口俊だが、数字はDeNAで残したもの。今季まだ1軍登板はないが、交流戦での登板機会はあるのだろうか。セの最多勝は7勝で、大野と山口が並んでいる。

 3位以下はメッセンジャー、藤浪と阪神勢が続く。今季の藤浪は乱調が続いているが、交流戦で本来の投球を取り戻せるだろうか。5位につけた巨人の菅野も防御率1点台だが、3勝6敗と大きく負け越し。援護がないまま孤軍奮闘することが多いと言えそうだ。

 今年の交流戦で、数字を荒稼ぎするのはどの選手だろうか。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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