北朝鮮企業、アップル社製品の名前をパクって販売

北朝鮮企業が、自社のタブレットPCに、アップル社の製品の名前をつけて販売を始めた。

米国の北朝鮮ニュース専門サイト、NKニュースによると、妙香(ミョヒャン)IT会社が、北朝鮮の英語雑誌「フォーリン・トレード」に自社製品の広告を出した。その名も「リョンフン・IPad」だ。

広告によると、この製品は、様々なデジタル情報、事務用文書、資料が読めるなど様々な機能を有しており、顧客の間で大人気だという。また、計算機、健康百科事典、医療用アプリ「いい医師3.0」、農業用アプリなど40以上のアプリがインストールされている。

さらに、国内のGMP(品質管理基準)の認証を受け、2016年の第3回国際科学技術祝祭と国家知的財産権展示会で高い評価を受けたとしている。

しかし、大文字、小文字の違いがあるとは言え、「iPad」は言わずと知れたアップル社の製品であり、リョンフン・IPadは同社の商標権を侵害している。

アップル社は、商標と著作権のガイドラインを次のように定めている。

Apple、iPod、iTunes、Macintosh、iMacまたはApple所有のグラフィック・シンボル、ロゴ、アイコンまたはその代替物を含むその他のApple商標の一部または全部を、企業名、商号、製品名またはサービス名称としてまたはその一部として使用または商標登録することはできません。ただし、本ガイドラインで明示されているものはこの限りではありません。

北朝鮮が、米国の大企業の世界的なブランドを盗用するのは今回が初めてだと、NKニュースは指摘する。

このタブレットPCは2013年に販売され、2014年に初めて朝鮮中央通信が紹介したが、当時は「iPad」という名前は使っていなかった。

2015年には、咸興(ハムン)コンピュータ技術大学の教授を務めた脱北者が、この製品を分解し、韓国のSKハイニックス社が仁川工場で製造したメモリチップを搭載していることを発見した。

ギズモードは、この製品について「スペック的に魅力はなく、本物の最新のiPadの足元にも及ばない」と酷評している。

余談だが、金正日総書記は、15インチのMacBookProを愛用していたと伝えられる。また、息子の金正恩党委員長はiMacを使っており、親子ともどもアップル社製品のユーザーだ。米のUPI通信は、金正恩氏は中国の高官からiPadとレノボのThinkPadをプレゼントされ、愛用していると報じた。

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