児童虐待、過去最多の6263件 2016年度の横浜市内

 横浜市は31日、2016年度の児童虐待の対応状況を発表した。市内4カ所の児童相談所と全18区役所で計6263件に上り、過去最多だった前年度(5470件)を更新した。このうち16年度に新たに把握された虐待の被害児童は2737人だった。

 相談種別でみると、6263件のうち心理的虐待が2518件(40・2%)で最も多く、ネグレクト(育児放棄、30・9%)、身体的虐待(27・7%)、性的虐待(1・2%)と続いた。児童の年齢別では1〜6歳が43・9%と最多で、7〜12歳(29・8%)、13〜15歳(11・4%)、0歳(9・1%)の順。

 虐待者別では実母(59・5%)、実父(32・2%)、実父以外の父(4・6%)と続いた。通告・相談した機関は、警察(29・9%)、福祉保健センター(12・9%)、児相(12・5%)、近隣・知人(11・2%)、家族・親戚(11・1%)の順となっている。

 区役所と児相とでは、通告経路や種別の傾向に違いが見られた。区役所では乳幼児健診などを行う福祉保健センターからの通告・相談が最多。虐待者は実母が8割弱を占め、種別ではネグレクトが半数近くを占めた。

 児相には警察からの通告が半数近くに上り、虐待者は実父と実父以外の父の合計が半数弱を占め、心理的虐待を疑う内容が多かった。市こども青少年局では、実父らから母への家庭内暴力(DV)を目撃した児童が、心理的虐待を受けたケースが多いと分析している。

 市は結果を受け、「区役所も通告受理機関であるという認識が高まり、警察と児相の連携も進んで対応件数が増えた。対応の態勢を整えるとともに、虐待自体を防ぐ取り組みも進めたい」としている。

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