三井物産、米国に異例の鉄スクラップ輸出 ニューコア向け、新断2万4000トン

 三井物産が4月に米国向けに鉄スクラップを2万4千トン輸出したことが分かった。米国の電炉メーカー、ニューコアに向けたもので、品種は薄板の端材である新断。東京・お台場で4月上旬に1隻の船に積み、パナマ運河を経由してルイジアナ州ニューオーリンズに輸出した。輸出国である米国向けに日本から大量の鉄スクラップが輸出されたのは極めて異例。今回はニューコアのDRI(直接還元鉄)プラントの不調に伴い、薄板用の鉄源として高品位のスクラップが必要になったことに三井物産が対応力を発揮した。

DRI不調に対応

 集荷の窓口はエムエム建材が担った。オバマ政権の内需振興策によって米国の鉄源需要は好調とされるが、今回の輸出は一時的な要因によるもの。

 先月30日に発表された4月の貿易統計(財務省)で、東京税関から米国向けに2万4131トンの鉄スクラップ輸出(HSコード7204・41・000切削・打ち抜きくず)が確認された。

 米国産の鉄スクラップが日本へ輸出されるケースはあるが、日本から米国向けの輸出は異例。

 今年3月以降、これまで輸入国だった中国から鉄スクラップが輸出され、アジア地区の商流にさまざまな変化が生じている。日本では東京製鉄が中国や韓国からスクラップを輸入したほか、韓国・現代製鉄も中国産スクラップを輸入。2万4千トンもの新断スクラップを1隻で米国に輸出した今回の取り組みは稀有なケースとみられるが、三井物産では海外の緊急的な引き合いにもグループの集荷網などを活用して、臨機応変に対応していく考え。

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