中国鉄鋼市況、頭打ち感強まる 5月底入れも先行き読めず

 3~4月に急落し、5月に底入れした中国鉄鋼市況に再び頭打ち感が出てきた。中国鋼鉄工業協会(CISA)などによると、先月末時点で代表的な熱延コイルの市況はトン当たり3400~3500元(増値税込み、約510ドル)。今年の最安値を付けた4月末からは200元ほど値上がりしたが上伸力は弱まっており、先行きは不透明な情勢だ。

 中国市況は行き過ぎた値下がりの反動や「地条鋼」対策の進展期待などから5月はおおむね上昇基調が続いた。中国ミルによる海外市場への輸出価格も熱延コイルで一時430ドルへ値を下げていたが、450ドル程度まで戻している。

 ただ、さらに上値を窺うほどの展開にはなっていない。背景には鉄鉱石など原料価格が軟調に推移していることや、中国内の自動車向け需要の弱含みが挙げられている。

 中国市場の軟調さが隣国の韓国に波及しているとも指摘される。車向けでだぶついた冷延鋼板の市況は5月も小幅な上昇にとどまり、中国内で吸収し切れず輸出する動きも強まっている。これが韓国市場へ流入し、加えて現代自動車が政治問題で中国内での販売を落としている二重の影響から、韓国ミルの売り腰が弱まっているという。

 来週にも中国高炉大手は7月の国内販価を打ち出すとみられ、当面の基調を測る材料として注視されている。

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