英国代表が葉山へ 来月からセーリング合宿 五輪向け県内で初

 葉山町は7日、2020年東京五輪に向けて英国セーリングチームが葉山港を拠点に事前キャンプを実施すると発表した。ことし7月から10月にかけて選手や監督、コーチら最大50人が葉山入りする。五輪出場を前提にしたナショナルチームが県内でキャンプを行うのは初めて。英国チームは世界トップクラスの強豪で、町民との交流も積極的に進めていく考えだ。

  キャンプは7月上旬〜8月上旬と10月上旬〜下旬の2期間。英国王立ヨット協会は期間中、町内にある大同生命保険の研修施設全棟を借り受けて滞在する。同協会は7月4日に来日し、町と同社の3者で協定を締結する予定。町内には既に英国チームの競技用品などを運んだコンテナ1基が届いた。

 キャンプ中は、町に登録している語学ボランティアが買い出しや食事の調理補助などをサポート。10月にはヨット乗船体験などのイベントを町が企画し、チーム側に参加を打診している。

 英国オリンピック委員会(BOA)は英国代表チームは横浜、川崎の両市、慶応大を事前キャンプ地とすることが決まっている。セーリング競技は会場となる海の状態を実際に把握する必要があるため、英国は葉山をキャンプ拠点に選んだとみられる。山梨崇仁町長は「五輪で葉山の子どもたちが夢や目標を持つきっかけとなり、葉山の価値が世界に発信され、活性化にもつなげられれば」と期待した。◆立地生かし積極誘致 日本のヨット発祥の地といわれる葉山。東京五輪のセーリング競技は江の島(藤沢市)から相模湾の東側までの海域で行うことが検討されている。相模湾は北風と南風が吹くことが多く、海岸線が西向きの葉山は、ヨットが安定して進める条件である、真横からの風を受けることができる。

 恵まれた地理条件のほかに、学生時代にウインドサーフィンで世界選手権の出場経験もある山梨崇仁町長が積極的にトップセールスを展開。昨年10月、江の島で行われた国際レースに出向き、英国やニュージーランドチームの関係者に事前キャンプ誘致をアピールした。「海外の大会だと現地の状況が分からないのが一番困る。私たちが今できることは情報発信。(チームと関係者の)仲介役になっていきたい」と山梨町長。事前キャンプが決まった英国のホストタウン登録も申請している。

 一方、誘致を巡っては宿泊施設の確保が大きな課題だ。町内には旅館やホテル、企業の保養所などが10カ所程度あるが、夏の観光シーズンは予約で混雑しているほか、保養所などはそもそも目的以外の使用が難しいといった事情がある。町には数カ国から問い合わせが寄せられているものの、英国以外の事前キャンプ実施は決まっていない。

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