傷害適用し懲役7年判決 強盗致傷罪認めず 地裁

 現金を奪うため路上で4人の男性を次々と襲ってけがを負わせたとして、強盗致傷などの罪に問われた東京都新宿区、鈴木一盛被告(33)の裁判員裁判で、横浜地裁(近藤宏子裁判長)は8日、「被告に(現金の)強取の目的が認められない」として強盗致傷罪を適用せず、傷害罪などで懲役7年(求刑懲役12年)の判決を言い渡した。

 判決によると、被告は昨年5月18日午後11時半から19日午前1時ごろまでの間、川崎市麻生区の路上で、通行人の男性4人をハンマーで殴るなどして重軽傷を負わせた。うち1人からは、暴行後に現金1万1千円を奪った。

 公判で検察側は一連の暴行はいずれも現金が目的だったと主張したが、近藤裁判長はこのうち3人への暴行について、「被告に強取の目的をうかがわせる言動は見当たらない」と指摘。実際に現金を奪った1人の事件についても、「暴行を終えた後に強取の目的が生じた可能性がある」として、傷害罪と強盗罪の併合罪が妥当とした。

 その上で、「被告は職場での出来事で抱いた憤まんから、八つ当たり的に事件に及んだ可能性も考えられる。動機は極めて身勝手で厳しい非難に値する」と量刑理由を述べた。

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