「ファイターズ最高!」自粛、ハム大田が秘める思い「今日の日は忘れない」

日本ハムの大田泰示外野手が10日、本拠地での巨人戦で先頭打者本塁打など移籍後初の猛打賞で3-2の勝利に貢献した。

日本ハム・大田泰示【写真:荒川祐史】

猛打賞の活躍も“諸事情”で「ファイターズ最高!」自粛した大田

 日本ハムの大田泰示外野手が10日、本拠地での巨人戦で先頭打者本塁打など移籍後初の猛打賞で3-2の勝利に貢献した。

 古巣相手に強烈な先制パンチを見舞った。日本ハムでは初めて「1番・DH」を任された大田の第1打席。田口の外角高め直球をジャストミートすると、打球はバックスクリーンへ。「思い切って振って、一番深いところに入ってくれたので良かったです」。そう振り返る7号先頭打者アーチは、超満員のスタンドも熱狂させ、6連敗中のチームを鼓舞した。

 6回にも先頭で左前打を放ち、1点を追う8回は無死一塁で追い込まれながらも中前へ弾き返して好機を広げ、逆転のお膳立てをした。チーム6安打中3本を一人で放つ活躍。連敗を6で止めた立役者は「勝つために必死こいて、それがつながった。良かったと思います」と胸を張った。

 この日は大幅に打順が組み換えられた。1番を任された心境をお立ち台で問われた時には「足が震えてました」と言って笑わせたが、内心はワクワクしていた。

古巣相手に2試合で5安打、大田が秘める「感謝の気持ち」

「『どっちが混乱するんだろう? 自分たちなのか相手なのか、楽しみ』という話をみんなでしていました」と打ち明ける。「今日はいい方向に向かった。きっかけになると思います」と笑顔でうなずいた。

 逆転V打の中田とともに上がったお立ち台では、促された「ファイターズ最高!」の決め台詞を「諸事情があるのでご勘弁してください」と自粛した。

「ここにいるのも、今までの8年間ジャイアンツで野球をさせてもらったおかげ。感謝の気持ちです。いろんな強い気持ちがあって(お立ち台に)立って……。今日の日は忘れないと思います」

 前日9日に迎えた27歳の誕生日に2安打、そしてこの日は3安打。古巣を相手に成長した姿をしっかり見せた。

石川加奈子●文 text by Kanako Ishikawa

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