明賀普電工会長、「需要増は今年度後半以降」 「合金鉄、電極の高騰に警戒」

 普通鋼電炉工業会(会長・明賀孝仁合同製鉄社長)は12日、会長・副会長会議を開催し、明賀会長が4月の鉄筋用小棒の国内向け出荷量63万トンについて「前月比では減少だが、60万トン割れだった1月や2月に比べて水準はやや戻ってきている。前年比でもここ数カ月はプラス4%の出荷レベル。ただ、絶対値としてはまだ低く、着工床面積の増加傾向が反映されるのは、今年度の後半からだろう」と感想を述べた。その上で、4月末の小棒在庫率90・6%に関しては「少し気がかりだ」と指摘。コスト面に関しては、電力などのエネルギー関連は上昇が不可避なほか、合金鉄や電極など「生産に関わる諸資材の高騰が始まったことは懸念要素だ」と警戒感を示した。

 鉄スクラップについては「新興国を中心とした鉄鋼需要の増加基調に変化はない。全体として鉄スクラップの需給も引き締まった環境だろう」と述べた。ただ、唯一の大きな変動要素として中国の動向を挙げ「3、4月の高水準の生産が、内需振興でいかに吸収・維持されるかは予断を許さない」とした。実態が不透明な〝地条鋼〟の生産停止に関しても注意は必要との見方を示した。

 さらに、米国が鉄鋼業に関する保護主義的な動きを強めていることやパリ協定からの離脱表明、朝鮮半島の情勢や中東での緊張関係などを挙げて「さまざまなリスクが高まっていると感じる。経済面への影響も覚悟しながら事業を運営していく必要がある」と注意を呼び掛けた。

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