房総半島沖350キロの海山で海底金属資源(コバルトリッチクラスト)を確認 海洋研究開発機構など

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、高知大学、茨城大学、筑波大学と共同で、房総半島の東南東約350キロ沖に位置する海山の斜面に厚いコバルトリッチクラストの広がりを確認したと発表した。

 アクセスが比較的容易な本州近海の排他的経済水域(EEZ)の海山がコバルトリッチクラストに覆われていることが確認されたことは初めて。

 同調査では10センチを超える厚いコバルトリッチクラストが多数採取されたことからコバルトリッチクラストの産状や形成・成長プロセスなどの成因解明のための調査対象としてや、将来の調査技術・開発技術の実験の場としての利用も期待される。

 コバルトリッチクラストは、コバルト、ニッケル、テルル、白金、レアアースなどのレアメタルを含む海底金属資源。今回の調査では、無人探査機を用いて本州近海のEEZ(銚子から約350キロ)の「拓洋第3海山」で計5回の調査潜航を水深1400~1700メートル、2500~2700メートル、3200メートル、4300メートル、5500メートルの5地点で実施。調査した斜面一帯がすべて厚いコバルトリッチクラストで覆われており、各水深で研究用試料を採取したところ、3200メートルの水深で北西太平洋では最大級の厚さとなる13センチのコバルトリッチクラストが採取された。また、潜航点すべてで5センチを超える厚さのコバルトリッチクラストが確認された。

 今後は今回採取した試料を分析するなどしてコバルトリッチクラストの成因モデルを研究し、コバルトリッチクラストの存在地域やレアメタル含有量の予測が可能になる調査技術の構築につなげる考え。また、アクセスが比較的容易な拓洋第3海山は将来のコバルトリッチクラストの調査・開発技術の実験海域としての利用も期待できるとしている。

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