箱根駅伝V3の秘話語る 川崎で青学大陸上部長

 箱根駅伝3連覇を果たした青山学院大陸上部部長の内山義英さん(同大教授)が17日、川崎市中原区で、「『覚悟』を持って取り組む〜箱根駅伝出場までの5年間」と題して講演した。

 退路を断って就任した原晋監督、廃部の危機にチームをまとめて立て直した強化指定1期生部員の「覚悟」を紹介。「部員一人一人が自分の役割を果たし勝利を全員で喜べるチームがつくられた」と栄冠の軌跡を語った。

 同大は長年遠ざかっていた箱根駅伝出場に向け、2004年に強化プロジェクトを開始した。その監督に白羽の矢が立ったのは、当時、中国電力で課長職にあった原さん。「この人なら変えてくれるのでは」と思った内山さんらに、大学から認められたのは1年契約の嘱託で最大3年。

 年収が半減する上、3年で結果を出すよう求められ、原さんは1年以上悩んだ末、退職して監督に就任。その3年後、厳しい練習に一部の選手が離反し、予選会でも惨敗、「チーム崩壊の危機が訪れた」。

 それでも原監督が「箱根駅伝出場の歴史をつくろう」と最初にスカウトした1期生部員が「監督と一緒に最後までやりたい」と練習に打ち込んだ。内山さんは、その気持ちを大学に伝え、任期延長を引き出した。「ここで組織の基礎ができたから、『山の神』が卒業しても勝てるチームになった」と強調した。

 講演は、青少年の健全育成などを目指す「ふるさと川崎まちづくり運動」(斎藤文夫会長)の総会で行われ、市民ら約400人が参加した。

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