熱延コイル輸出量、7~9月積みも低水準 2四半期連続300万トン割れも

 高炉メーカーの熱延コイル輸出商談は、7~9月積みも成約抑制が続きそうだ。設備改修による減産と内需向けの供給優先で4~6月期のホット輸出量(広幅・普通鋼のみ)は9四半期ぶりに300万トンを割り込む見込み。7~9月期も供給余力は回復せず、同様の低水準が続く。日本勢の慎重な輸出政策により、高級品を中心に海外ホット市況は底堅く推移しそうだ。

 4~6月積みホット商談は、引き合い自体は堅調だったものの、新日鉄住金やJFEスチールの主力製鉄所で定期改修が多く組まれていたため成約を絞り込まざるを得なかった。そのため2015年1~3月期の297万トン以来となる300万トン割れが濃厚となっている。

 7~9月積みでは定修が終わったことで、当初は巡航ペースへと輸出量が戻る見通しだったが、一部の設備不調で相殺され、玉不足の状況が続く公算だ。日本勢以外の高級ホットサプライヤーでは、韓国・ポスコが浦項製鉄所で拡大改修した第3高炉(炉内容積5600立方メートル)に火入れし増産しているものの、日本からのホット調達が難しくなった韓国リローラーがポスコ材を吸収し、なお需給の引き締まり感は残るものと予想される。

 海外ホット市況は日本ミルやポスコ、中国宝武鋼鉄などが造る高級材と、本渓鋼鉄のような中国準大手が主力とする汎用材とで値差が広がり、足元では価格が二極化している。ただ一時はトン当たり400ドル台前半まで値を下げていた中国勢の汎用ホット輸出も、8月積み商談では20ドルの値上げが提示され、400ドル台半ばへと底上げが進みつつある。汎用ホットに比べ高値を付けてきた高級ホットもタイトな需給環境が続きそうで、ラマダン明けの海外市場は一段高となる可能性もある。

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