交流戦打率66人中65位、ヤクルト山田哲人に何が起こったのか?

交流戦は雨天延期になった1試合を残してほぼ終了した。6月18日時点でセ・リーグの個人打撃成績で日本人選手の最下位には、ヤクルトの山田哲人がいる。

ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

“得意”の交流戦でも成績上がらず、不振にあえぐ山田

 交流戦は雨天延期になった1試合を残してほぼ終了した。6月18日時点でセ・リーグの個人打撃成績で日本人選手の最下位には、ヤクルトの山田哲人がいる。

 山田は交流戦を得意としている。そもそも2014年に打率.378(4本塁打15打点)で交流戦首位打者を取り、売り出したのだった。2015年は打率.309(5本塁打13打点)、2016年は打率.313、8本塁打21打点。いつもと違う相手と対戦しても、調子を落とすことなく数字を稼いできた。

 しかし今季は66打数9安打3本塁打9打点、打率.136。規定打席以上の66人中の65位と極端な不振だった。

 この結果、打率はビシエド(中日)の.117を上回っただけで、セ・リーグでワースト2位、日本人打者に限れば最下位となった。過去4年間、山田の交流戦終了時点での成績を比較してみよう。

交流戦終了時点の成績はここ4年でワーストの成績

2014年
67戦282打数93安打、打率.330、10HR、40打点、7盗塁、39四死球、41三振

2015年
65戦255打数76安打、打率.298、11HR、32打点、12盗塁、40四死球、51三振

2016年
72戦265打数86安打、打率.325、23HR、55打点、17盗塁、52四死球、51三振

2017年
65戦240打数51安打、打率.213、8HR、29打点、9盗塁、50四死球、54三振

 今季は、ほとんどの数値が大きく下がっている。これでは3年連続トリプルスリーは今後、よほどの復調がない限り絶望的だ。

 山田は2014年に売り出してから、毎年四死球数が増えていた。彼の打棒を恐れて勝負をしない投手が増えていたのだ。今季は打撃不振だが、昨年と変わらない四死球数。なかなか勝負してもらえないのだ。特に交流戦では6月8日にバレンティンが登録を抹消されたこともあり、山田が集中的にマークされた。

昨年8月以降成績低下、安打数を四死球数が上回った今年の交流戦

 昨年のソフトバンク・柳田悠岐も、李大浩が移籍する中、マークが集中し、四死球を増やしつつ成績を下落させたが、同じような状況にある。特にパ・リーグの投手は、攻め方が明確だと言われる。今年の交流戦では9安打11四死球と安打数より四死球の方が多かった。

 こういう攻め方をされるうちに、調子を大きく落とした可能性はある。特に今季は、右投手に.196と極端に数字が悪い。もともと左投手を得意にする打者ではあるが、昨年は右投手に.279だったことを考えると、その落ち込みは深刻だ。

 山田哲人だけではなく、筒香嘉智、中田翔など、今春のWBCに出場した打者は不振が目立っている。メンタル面も含めた「燃え尽き」が、ここまで影響している可能性もあろう。ただ、月間打率を見ると、山田は昨年の7月に.333を記録してからは、8月.271、9月.176、今年4月.191、5月.269、6月.155とずっと不振が続いている。去年の後半から、フィジカル面あるいは、技術面で何らかの問題が生じている可能性はあるだろう。

 セ・リーグを代表する若手スラッガーとして、人気、注目度抜群の山田哲人の浮沈は、NPB人気にも影響する。今後のV字回復に期待したいところだ。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

© 株式会社Creative2